「幸福とは何か?」なんて問いが、いつの時代からあったのかと言うと、人間が不幸になってからだろう。
だが、人間はいまだ、自分達の不幸の原因を知らない。
法然の『選択本願念仏集』の真似をするなら、
「問う。幸福とは何か?答えよう。幸福とは、呼吸が穏かなことである」
である。
いくら大金持ちだったり、王様だったり、若い美人の嫁さんやイケメンで優しい旦那がいても、いつもせわしい呼吸、荒い呼吸をしているなら、絶対に幸福ではない。
そして、不幸の原因は、呼吸が穏かでないことだ。

『荘子』に書かれてあるが、仙人は足の裏からゆったり呼吸する。
これを、「足の裏から気を出入りさせる気功の奥義である」なんて馬鹿を言う気功家もいるようだが、荘子が言ったのは、あくまで比喩であり、鼻から呼吸してるのが分からないほど、呼吸が静かであるという意味である。
呼吸が微かであれば、気だって自由に出入りする。

ところで、人間には「ノスタルジック」という高度な感情がある。
これは、「ノスタルジア(英語。フランス語のノスタルジもよく使うと思う)を感じる」といった意味だが、ノスタルジアとは、郷愁(きょうしゅう)のことで、郷愁とは、
・他郷にあって故郷を懐かしく思う気持ち。
・過去のものや遠い昔などにひかれる気持ち。
といったように、空間的、時間的な2つがある。
だが、最も切ない郷愁とは、それらを合わせた自分の遠い過去・・・幼い時、少年や少女だった時、あるいは、若くて元気だった時の感覚の記憶だろう。
これも実は、自分が最も穏かな呼吸をしていた時の思い出なのである。
そして、今すぐ、微かな呼吸・・・せめて、静かで穏かな呼吸をすれば、いつでも、郷愁を感じる、あの懐かしい時代に帰れるのである。

スポーツの世界では「全盛期」という言葉がよく使われる。
選手生活の中で一番強い時期で、それは主に年齢で決まる。
例えば、「イチローの全盛期は20代後半から30代の最初だった」というふうにね。
そして、全盛期とは、最も呼吸が静かだった時のことなのだ。
呼吸が微かな80代の武道の達人であれば、今が全盛期である。

郷愁に戻る。
郷愁を感じさせる音楽を聴けば、ただちに呼吸は消える。
幼い時に聴いた懐かしい音楽や、青春時代の音楽を聴いた時に、よくそうなる。
ところで、私は、子供の時はほとんど音楽に縁がなかったが、二十歳の時にビートルズに夢中になり、これが郷愁に近いものを感じさてくれていた。
ところが今は、初音ミクさんが歌う、19's Sound Factoryさんの『Dear』や、まらしぃさんの『橙交差点(だいだいこうさてん)』を聴くと、もちろん、昔聴いたことがあるはずがないが、強い郷愁に「襲われる」のである。
これを、「失ったものを取り戻す」ということなのか、時間を飛び越えて、あの時の自分の霊と融合する。
『橙交差点』では、小学生から中学生の時、『Dear』では、中学生から高校生の時にリターニングする。
もちろん、呼吸は消えてしまう。
それが宇宙霊となった、あるいは、宇宙霊と一体化するようなことなのだろう。

ところで、『Dear』は、2010年の『ミクの日感謝祭』の、『橙交差点』は、2013年の『夏祭初音鑑』のブルーレイで初めて聴いたが、そのライブの『Dear』では、19's Sound Factoryさんがギターのゲスト演奏をされておられた。
やはりゲスト演奏(キーボード)されておられた当時のdorikoさんにもそんな印象があったが、19's Sound Factoryさんは非常に繊細そうな人で、少し神経質そうな印象があった。
ところが、今年の「マジカルミライ2017」で、人違いかもしれないが、19's Sound Factoryさんを見かけたような気がするのである。やっぱりちょっと神経質そうだったが、格好良い人だった。
まあ、単に似ている人だったのかもしれないが。







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