実は私は、今日まで「ギグワーカー」「ギグワーク」という言葉を知らなかった。
ギグワークとは、インターネットを通し、ギグ(単発)の仕事を請け負うことである。
アルバイトやフリーランサーとの違いは、ギグワーカーは、自分が都合の良い時に仕事を請け負う・・・空いた時間に仕事をする感覚である。

この話を聞いて、私はすぐにピンときた。
これは、インターネットの発達によって可能になり、その裏側ではAIが導入されつつあることは間違いないが、AIの高度化と共に、ますますギグワーキングは普及する。
ただし、新しい種類のギグワークは儲かる場合も多いが、すぐに他の者達が参入してきて、儲けを奪い合ってしまう。例えば、ウーバーという、誰もが自分の車でタクシーをやる仕組み(正式にはウーバーは配車アプリで、これにより客を見つける)で、初めはドライバーはかなり儲かったが、沢山の人がドライバーになれば、客を取り合って儲からなくなる(ウーバーの主体は儲かる一方だが)。

インターネットで効率的に仕事を見つけることに関しては、クラウドワークス社などによる、仕事の発注者と受託者を結び付けるサービスが10年ほど前から注目され、サービスを提供するベンチャーは、「フリーランサーに年収500万円を保証出来るようになる」とか、息巻いていたが、実際は、まともに儲けることが出来る人は、あまりいない。
そんなことは、最初から明らかだと思った。金額の高い仕事の受発注というのは、複雑なものだからだ。
私のように、一応は実力があるシステムエンジニアでも、そう簡単に稼げるものではないし、トラブルが起こった時のリスクも大きい。

しかし、AIの発達で、ギグワークのような、比較的単純な仕事なら、うまく回るようになる可能性は高い。
そして、いずれ、そこそこ複雑で単価の高い仕事も、ギグワークに入ってくるようになると思う。現在でも、そんなものはあるだろうし、そう遠くなく、多くの人がググワークによって、企業に所属することなく、生計を立てられるようになる・・・というより、企業に所属する意味がなくなってくるし、企業も社員を持たなくなる。

だからこそ、「自分にしか出来ない」技能を持っていて欲しいのだ。
どんな時代になろうとも、「誰にでも出来る」仕事は単価が安い。
これまでは、多くの場合、プログラミングやWebサイト構築が出来る能力があっても、企業に所属しない限り、なかなか収入を得られなかった。
しかし、これからは、しっかりした実力があれば、相当稼げるようになる。
クラウドコンピューティングの発達によって、以前のように、サーバーコンピューターやWebサーバー、データベースサーバーの構築で儲ける機会は少なくなったが、全体をコーディネート出来れば、笑いが止まらないほど儲かるようになるかもしれない。だが、やがては、それも、AIが代行するようになって、儲からなくなる。
だが、創造的な部分は、やはり人間の発想や感性が必要になる。
AIに奪われる仕事かそうでないかを考える際、ギグワーキングを念頭に置くことが必要になってきたと思う。
財務会計のような、統制が必要なシステム分野はAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)がやってくれるが、Webサイト構築や日々のオフィスワークの仕組みの構築は、なかなか判で押したようにはならない。
AIそのものより、AIにやらせる問題を考えることも、人間のやる重要な仕事である。
そんな時、これまで「オフィスオタク」の道具と言われてきた、ExcelマクロやAccessマクロ(VBAプログラミング)や、あるいは、JavaScriptやPHP(HTMLを含む)等が重宝されるようになると思う。