ITスペシャリストが語る芸術

-The Kay Notes-
SE、プログラマー、AI開発者、教育研究家、潜在意識活用研究者、引きこもり支援講師Kayのブログ。

オデュッセイア

当ブログは、第一期ライブドア奨学生ブログです。
◇お知らせ
[2019/12/28]AI&教育問題専用ブログ、メディアの風を公開しました。
[2017/03/01]「通りすがり」「名無し」「読者」「A」等のハンドル名のコメントは原則削除します。

手本となる人物をどう選ぶか

手本になる人間がいることは幸福なことだろう。
何だかんだ言っても、幼いうちは、父親、母親は子供にとって憧れの存在であり、目指すべき手本である。
ところが、それがいつまで続くだろうか?
映画『サウンド・オブ・ミュージック』で、ヒロインのマリアが、トラップ大佐のどの息子だったかは忘れたが、決して小さくはないその男の子が、「あなたに理想の男性像を見ている」と、トラップ大佐に言う場面がある。
しかし、そのシーンを見たほとんどの青少年はムシズが走ったりするだろう。自分の父親を思い出すからだ。
萩尾望都さんのある漫画で、中学3年生の女の子が、母親に対し、「お母さんのようなお母さんになりたい」と、真面目に言う場面があったのだが、これにも、読んでいる女の子のみならず、男の子も、自分の母親を思い出して冷笑してしまうかもしれない。
今の子供にとって、親以外で接触する数少ない大人である教師も、ほとんどの場合、ひどいものであるし、その点、会う時間の短い塾やお稽古事の先生の方が、正体がバレない分、「マシに見える」ことだろう。
早い話が、子供の手本になるような大人は滅多にいない。

インドでは、『ラーマーヤナ』に登場するラーマ王子と、その妻シータが理想の男性と女性の姿を見せてくれている。
実際、この2人は、元々が至高の神が2つに分かれたものだけあり、実に素晴らしい。
だが、インドでも、特に近年では、この2人をちゃんと手本にする人は、あまり多くないに違いない。

ギリシャ神話では、神々自体は、人間の常識からかけ離れた存在であるので、崇拝の対象ではあっても、直接の手本にはならない。
しかし、ホメーロスによって書かれたと云われる『イーリアス』、『オデュッセイア』に登場する英雄達・・・その中でも、特にオデュッセイアは手本とすべき存在と言えるかもしれないが、なかなか、そうしている者はいないだろう。

我が国の『古事記』の中にも、中々、理想の存在を見出せない。
ただ、イザナギが、黄泉の国(死者の国)から帰って来て、水で禊をすることで、数々の神を、そして、最後に貴い3柱の神を生むところに、手本とする行為がある。
身に付けているものを脱ぎ、身体を洗うことが、執着や穢れを捨てることを表しているというのである。
だが、そう教える人がどこにでもいる訳ではないので、なかなかそんなふうには理解しないと思われるかもしれない。
しかし、子供のうちであれば、古事記を読めば心の内でそんなことをちゃんと感じるものなのである。
だから、子供のうちに古事記を読んだ人は、案外に良い影響を受けているし、大人であっても、真摯に読めば、心の穢れを祓ってくれるだろう。
『古事記』は世界の神話の中でも、実に貴いものではあるまいかと思う。

ゲーテの『ファウスト』のファウストや、ダンテの『神曲』のダンテは、彼らが、これらの物語の中で見聞を深め、経験を積むことで成長する様子が、優れた手本になる。
『古事記』のイザナギは、それを、短いお話の中で、もっと端的にやっているのである。
『バガヴァッド・ギーター』のアルジュナ王子もそうだ。クリシュナ神に18章に渡る教えを受ける中で、優れた人間になるが、それが我々の手本である。
これらのような、最初から完成した手本でなく、理想の存在になるまでを動的に描いたダイナミックな手本というのは、学び易く、有り難いものである。

『ラーマーヤナ』のラーマとシータ、そして、『新約聖書』のイエスは、成長という面もないではないが、基本的に最初から完成した理想の姿である。
このように欠点のない者からは意外に学び難いかもしれない。
しかし、彼らの何が理想であるかを探求することには、深い意味がある。

『ファウスト』にあるように、人間は神に向かって努力する存在であるべきだ。
そのためには、手本がなくてはどうしようもない。
身近に手本がいない訳ではないだろうが、上に挙げた物語によって、人間の理想の姿を知ることが必要である。
そして、それが、生き甲斐のある人生や、神の恩寵に恵まれた豊かな人生を創ることだろう。

















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我々はいつも戦いの真っ只中にいる

賢者と称されるに相応しい思想家や本物の芸術家達が、時にためらいがちに、時に堂々と、あるいは、時にさりげなくも当然のように言うのは、戦争が人々の意識を覚醒させること、逆に、平和は大衆の精神を弛緩させ堕落させることだ。
戦争は必要悪なのではないかと疑問を呈する者は、自ら戦争の悲惨さを体験した者にも少なくはない。
現代には、経済戦争、受験戦争、オリンピックやワールド杯サッカーといったスポーツによる代理戦争があると言いたい者がいるかもしれない。
しかし、これらは、ほとんどの場合、人々の心に最悪の作用しか及ぼさない。
欲望を目的とした戦いとはそのようなものである。

だが、現代にだって、本当の戦いはある。
人類あるところ、どこにでも戦いはあるのだ。
例えば、我々に分かり易いところで言えば、いじめに遭っている者、職場などで理不尽な苦しみを強いられている者達だ。
彼らにできる唯一最高のアドバイスは、「戦え」である。
決して、馬鹿で無責任な教育者や政治家や評論家のように、現実の惨(むご)たらしい戦いを覆い隠すことで「無いことにしてしまう」下らない「いじめ対策」などというものに騙されるな。
自ら戦わねば、どうにもならない。誰もあなたのために戦ってはくれない。
ただし、賢く戦うのだ。
馬鹿な戦い方をして負けるのは、誰が悪いわけでもない。自分が愚かだというだけのことなのだ。

E.E.スミスの「レンズマン・シリーズ」で知られる世界的な人気SF小説『銀河パトロール隊』で、初陣を飾った若きレンズマンであるキニスンが、敵について語ることが印象的であった。
敵は、銀河全土の征服を目論む、極悪非道の超エゴイスト達の集団であるが、キニスンは、連中が劣ってはおらず、それどころか、恐るべき優秀であることを認めざるを得なかった。そして、そんな悪の集団を構成する、膨大な数の、個人的欲望を優先する、驚くべきほど実力ある曲者共を完全に支配する悪の首領の力となると、もう畏怖せざるを得ないのである。
そして、キニスンは、何が正義で、何が悪かは、文化の違いに過ぎないのではないかといった意味のことを、上司である長官に述べ、長官の方も、おそらくは、同じ想いを持っているのである。
ただし、もちろん、戦いは放棄しない。連中の好きにさせる訳にはいかない。

だが、なぜ戦うのだろう?
ひょっとしたら、戦いは神が仕組んだものではないだろうかと私は思うことがある。
何のためかというと、進化のためである。
しかし、権威のため国家のためといった、誰かのエゴイズムのために戦ってはいけない。
何が正しいのかは分からないが、「疑うことのできない確信のある自らの正義のために戦う」のである。
非暴力主義のガンジーや、平和主義者のアイシュンタインが、神クリシュナがアルジュナ王子に「部族階級の名誉にかけて戦え」と説くインドの聖典『バガヴァッド・ギーター』を賞賛する謎について考えてみても良いだろう。

得たいの知れない何かに攻められていることを感じるなら、『バガヴァッド・ギーター』を読み、あなたも戦うのだ。
戦いの第一段階は何だろう?
それは、軍備を整えることであり、個人的に言えば、自らを鍛え、磨くことだ。その上で実戦を戦えば知恵を得る。
だが、援軍を得ることを忘れては勝ち目はない。
説明は普段しているので省くが、最も力強い援軍を得る方法は念仏であり、これを忘れない限り、あなたに敗北はない。
法然や親鸞は生涯戦い続けた。彼らは、決して平和に甘んじなかった。だが、彼らは念仏と共にあり、強力に守られてもいたのだ。

トロイア戦争は、神々の王ゼウスの正妻ヘラ、美の女神アプロディーテ、そして、戦いと知恵の女神アテーナが美を競うことから始まる。
ヘラとアプロディーテなら分かるが、なぜ、アテーナまでがそんな争いに加わったのだろう?
ヘラとアプロデーテは、表面的、権威理的な美を表す。
しかし、アテーナは、戦いの中にこそある、真の美を示すのだ。
長く苦しい戦いの後、英雄オデュッセイアに、海神ポセイドンが言う。
「愚かな人間が神の意図を知ろうなどと思うな」
勝利したのはアテーナである。
もし、人類の至宝であるホメーロスの大叙事詩『イーリアス』、『オデュッセイア』を読む機会があれば、よく考えてみて欲しい。









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プロフィール
名前:Kay(ケイ)
・SE、プログラマー
・初音ミクさんのファン
◆AI&教育blog:メディアの風
◆著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)


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