ITスペシャリストが語る芸術

-The Kay Notes-
SE、プログラマー、AI開発者、教育研究家、潜在意識活用研究者、引きこもり支援講師Kayのブログ。

みにくいアヒルの子

当ブログは、第一期ライブドア奨学生ブログです。
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[2019/12/28]AI&教育問題専用ブログ、メディアの風を公開しました。
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世界は思い込みで作られている

私が好きな古い引き寄せの本に、『トーチェ氏の心の法則』がある。
1959年に書かれたもので、もちろん、当時は「引き寄せ」という言葉があったわけではないが、引き寄せの本と言っても良いと思う。
元々は、研究報告書のような形で書かれたもので、全ての話がエビデンス(根拠)となる具体的事例と科学的推論に基いて書かれているが、一般向けに書き直したのか、決して難しくはない。

『トーチェ氏の心の法則』では、まさに、世界は意識が作っており、人間は、信念・・・というか、自分の思い込みで世界を作り上げていることが明晰に語られている。
たとえば、ある末期癌の患者が、沢山食べれば治ると思い込み、一生懸命食べていたら、本当に治ってしまったという話の他に、沢山の不思議な話が書かれている。
逆に、「思い込みがなければ起きない」という、逆方向の面白い話もある。
たとえば、ある未開民族の人々は、脚が折れたら走れなくなることを知らないので、脚が折れていても平気で走り回っていたという。
また、酔っぱらって3階か4階から落ちた酔っ払いの2人連れは、酔いのため、ちょっと何かを踏み外しただけだと思っていたので、すぐに起き上がると、気分良く歩いて行った。

今、参政党という新興の政党が人気がある。
この参政党では、小麦製品を食べてはいけないと主張している。
つまり、パンや小麦で作ったクッキーのようなお菓子は絶対に食べてはいけないという。癌になるリスクが高まるのだそうだ。
『トーチェ氏の心の法則』の著者が、もし、この話について研究していたら、次のようなことを書くかもしれない。
「これまでパンやクッキーを沢山食べても健康だった人が、参政党の話を信じてしまい、癌になって死亡した」

コリン・ウィルソンの『超越意識の探求』という本のあとがきに、こんなエピソードが書かれている。
何をやっても駄目で、自信がない青年がいた。
ある時、この青年が「僕はなんて駄目なんだろう」とつぶやくと、側にいた知人が、
「君はちっとも駄目じゃない。自分でそう思っているだけさ」
と言ったところ、この青年は何かを感じ、知人のその言葉が心から離れなかった。
そして、この青年は、誰からも尊敬される素晴らしい人物に生まれ変わった。
『トーチェ氏の心の法則』を適用すれば、この青年は思い込みを「自分は駄目」から、少なくとも「ちっとも駄目じゃない」に変えただけだ。

もし、あなたの収入が少ないなら、自分は安い収入しか得られないと思い込んでいるだけだ。
もし、あなたがモテないなら、自分はモテないと思い込んでいるだけだ。

引き寄せというのは、つまるところ、自分に都合の良い思い込みを持つというだけのことだ。
ドナルド・トランプが若い頃、「俺はスーパースターだ。どんな女もモノに出来る」と威勢よく言う音声が公開されたことがあった。2016年の大統領選で、敵側がトランプの人格を攻撃するためだった。
これに対し、トランプは、「若い時は誰だってこんなことを言うものだろう?」と言い、「そりゃそうだ」ということになった。
しかし、羽目を外した冗談は誰でも言うが、トランプのように「俺はスーパースターだ」とは滅多に言わない。
トランプは、いつもそう言っているうちに、それが思い込みになり、本当にスーパースターになったのだ。
一種のアファーメーションである。

だが、多くの家庭では、親によって子供に酷い思い込みを持たせている。
「お前はグズだな」
「あんたってブスね」
「この短足」
そのために、子供は自分がグズだと思い込んで本当にグズになり、ブスになり、脚が短くなるのだ。

アンデルセンの『みにくいアヒルの子』という有名な童話があり、このお話は、自分は醜いと思い込んでいたアヒルの子が実は白鳥だったというもので、単純に捉えれば、トーチェ氏の話と反対のように思える。
だが、それは全くの誤解だ。
このお話は長く、いろんな想いが込められている。
このお話は、アンデルセン自身の物語であり、アンデルセンは読者に「君は本当は素晴らしいのだ」と教えているのである。
それも巧妙にね。
このお話を、特に子供の時に真面目に読んだ人は幸運である。








自分は「美しい白鳥の子」でないと自覚しろ

アンデルセンの『みにくいアヒルの子』ほど、現代の世界に悪い影響を与えたお話は、そうはない。
あのお話のおかげで、沢山の凡人達が、自分は本当は白鳥で、いつか、輝かしい大したものになると思い込んでしまった。
君もそうではないかな?
ちなみに、私はそうだ。

そして、『みにくいアヒルの子』の最たる被害者の例が、私の職場にいる、30歳過ぎの人生の落伍者、派遣の雑用係である、まるで駄目男君だ。
彼は、30をとおに過ぎた今も、自分は、本当は白鳥だと思い込んでいる。
アヒルにも劣るボウフラなのにね。
彼だって、自分がボウフラだと自覚すれば、蚊にならなれるかもしれないのに。

そりゃ、アンデルセンは天才で、白鳥だった。
しかし、生まれた家が貧しかったせいで、凡人の中でいじめられ、辛い目に遭った。
だけど、勇気を出して行動し(14歳で故郷の村と母親を捨て、単身、コペンハーゲンに出た)、頑張り続け、ついに白鳥になれた。
なるほど、『みにくいアヒルの子』は、アンデルセン自身のお話として感動的だ。
だが、天才なんて滅多にいないのだ。
メンサなら上位2パーセントの知能指数があれば入れるが(脳科学者の中野信子氏によれば、テストの練習をすれば誰でも入れるらしい)、天才ってのは、多く見積もっても万人に一人・・・つまり、0.001パーセントだろう(それでも、日本に一万人の天才がいるという、あり得ない話になる)。

サラリーマン生活がすっかり身についた、若者達が蔑む40代、50代のオッサン達だって、頑張らなかったわけではないのだ。
持って生まれた才能が、その程度しかないのだ。
そりゃ、超人的な努力をしたとは言えないかもしれないが、皆、涙ぐましい努力はしたし、しているのだ。
そして、超人的な努力が出来るのは、自分がやっていることに、現実的な可能性を感じる天才だけなのだ。
これで分かるだろう。
「子供達には無限の可能性がある」なんてのは、大嘘、もしくは、幻想なのである。

ソクラテスは、本当の知恵ってのは、神の霊感のようなものだと言ったと思う。
シラーの詩を元にした、ベートーヴェンの『歓喜に寄せて』でも、そんなことを歌っていると思う。
しかし、高度な神の霊感がやってきても、それを形に出来るのは天才だけなのだ。
ソクラテスも、シラーも、自分が天才だから、そこに考えが至らなかった。
福沢諭吉が、どんな意味で「天は人の上に人をつくらず」と書いたのかは知らないが、才能という意味では、完全に、「天は凡人の上に天才をつくった」のである。

だが、凡人らしい生き方というのも、かなり誤解されている。
凡人の、なけなしの力だって、集中すれば、そこそこのものなのだ。
それを分散させ、弱めてはならない。
自分の力を集中させる方法を学べ。
そうすれば、意外に悠然と生きられるだろう。
だが、まず、自分が白鳥でないと自覚しろ。









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プロフィール
名前:Kay(ケイ)
・SE、プログラマー
・初音ミクさんのファン
◆AI&教育blog:メディアの風
◆著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)


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