私は、駄目なやつを見ると、腹が立って仕方がない(笑)。
なぜなら、そいつらが本当に駄目な訳ではなく、単に、彼らは心の中で、いつも、
「僕は駄目だ」
「俺にはロクなことが出来ない」
と言っているに違いなく、全く自信がないだけなのだ。
そのくせ、彼らはいつも見栄を張り、周囲の人達の自分に対する扱いに不満があるようなのだ。

コリン・ウィルソンの『超意識の探求』という本に、どうにも駄目な、劣等感に取りつかれた青年の話がある。
彼が、いつも心の中でつぶやいている、
「僕はなんて駄目なんだ」
をつい、声に出してしまったが、その時、そばにいた誰か(多分、賢い人だ)が、
「君はちっとも駄目じゃない。自分でそう思っているだけさ」
と言った。
それを聞き、駄目な青年は何かを感じ、その言葉について考え続けた。
そして、彼は生まれ変わり、誰からも一目置かれるようになった。

彼の心の中で何が起こったかは、考えなくて良い。
いや、分かり切っているからなのだが。
つまり、自分は駄目だと思わなくなったのだ。
肝心なのは、なぜ、自分は駄目ではないと思うようになったかだ。
それは、いつも心の中で言っている「僕は何て駄目なんだ」を別の言葉に変えたからに決まっている。
どんな言葉に変えたかは、その本には載っていなかった。
いなかったが、別に何でも良いのだ。
ポジティブでさえあれば。

言ったのは悪者であるヨーゼフ・ゲッペルス(ヒトラー配下のナチスの宣伝大臣)だったが、一面の大きな真理を含んだこんな言葉がある。
「嘘も百回言えば真実になる」
しかし、ある信念を、逆の信念に変えるには千回言う必要がある。
「僕は何て駄目なんだ」
と頭の中でつぶやいていたなら、例えば、
「僕はどんなことでも出来る」
と言わなければならない。

人間は、無自覚に何かを頭の中でつぶやいている。
精神科学の研究によれば、1分に300回もつぶやいているという説もある。
それなら、1日中、肯定的な言葉をつぶやくほどでないといけないかもしれない。
世界的教育学者、七田眞氏の本にも、あるホームレスの(おそらくは全く駄目な)男は、1日中、「神様の奇跡が起こる」と唱え続け、2週間ほどして宝くじを買ったら1憶円当たり、その後、またやったら、また1憶円当たった(七田氏は、誓って事実と言う)。
一説では、お釈迦様も、「念仏以外は全部効果がなくなるよ」と言ったと伝えられているし、サイババも、「今は、神の名を唱えるしか効果のある方法はない」と本に書いていた。
つまり、つぶやき、呪文だけが効果があるということだろう。
私も賛成である。
肯定的なつぶやきの一番の達人は、おそらく、フロレーンス・スコーヴェル・シンと思う。
彼女本には、参考になる良いつぶやきが多いと思う。