イギリスの作家コリン・ウィルソンは、精神世界分野で世界的に有名であり、日本でも、極めて翻訳書が多い作家の1人と言われている。
そのウィルソンが生涯かけて探求したのが人間性の復活で、簡単に言えば、人間を元気にすることだった。
ウィルソンは、世界的心理学者だったアブラハム・マズローと交流することで深い洞察を得たが、ウィルソン自身は中卒(育った家庭が貧困で高校に進学出来なかった)だったことは、むしろ良かったと思う。工場労働者やヒッピー生活といった、エリート学者では経験出来ないような経験が、彼に貴重な知見を与えたことは明白であるからだ。

ところで、私は、ウィルソンが提示し、未解決と思えた問題を、「中今(今、この一瞬)」という考え方(「今今メソッド」として知られる)で、簡単に解決してしまえることを発見した。

人間が本来持つ、知恵、力、エネルギーは、神秘的に感じられながらも、実は、子供の時や緊急事態には誰もが体験している、極めて身近でありふれたものだ。
我々は、子供の時には出来た、あるいは、緊急事態になら出来ることを、いつでもやれるようになれれば良いだけである。
ウィルソンは、そんな偉大なエネルギーを使ったことに関し、自らの子供時代のエピソードを『右脳の冒険』の中でも述べている。
こんな簡単な話だ。
ウィルソンは10歳になる前だと思われるが、弟と2人で、森の中で道に迷ってしまった。
深い森で、いくら歩いても出口がまるで見つからず、疲労と不安が幼い兄弟を襲い、さらに、雨が降ってきて濡れた身体が冷え、兄弟の不安は絶望へと変わっていき、ついに弟は泣きだし、歩こうとしなくなった。
コリン兄さんであるウィルソンもそうしたかったが、泣きわめく幼い弟を見て、コリンは兄の自覚を感じた。
その時、何かが起こり、コリンはヒーロー化したのだ。
コリンの表情は引き締まり、男らしい態度で、駄々をこねる弟を叱咤しながら激励し、状況に屈服することを拒否し、行動した。
このことを、ウィルソンは「私はしゃんとしたのだ」と述べている。
そして、2人は、ほどなく、森から脱出することに成功する。

その時、ウィルソンに何が起こったのか?
それは、ウィルソンが言うには、右脳のエネルギー、あるいは、右脳に秘められた無意識のエネルギーが、左脳、あるいは、意識の中に豊富に流れ込んできたのだ。
それを行うためには、これも、ウィルソンが言うように、「しゃんとすれば良い」のである。
しかし、我々は、もっと良い言い方を知っている。
それは、「今」を意識することである。
余計なことを何も考えず、今、目の前のことだけを見つめる・・・これだけだ。
まさに、『Satisfaction』(kz feat.初音ミク)にある通り、
「頭の中空っぽにして、目の前だけ見つめるの」
である。

コリン・ウィルソンが、あらゆる著作の中で、人間性を取り戻すことに関する問題を提示し、ウィルソンは、その時に分かる、精一杯の解決方法を示唆したつもりだったが、その全てが、「今、この一瞬を意識する」ことで解決出来る。
何をやっても駄目で、劣等感にとり憑かれた青年が、短期間で誰からも一目置かれる優れた人間になれたのも、実は、意識を今に集中させることを知ったからであると断言出来る。
我々も、今すぐ、「今、この瞬間」に集中して生きることを始めれば、神の全能を手に出来る。
確かに、学校やテレビで、それと真逆の習慣を叩き込まれていて、それは、時代を下るごとに強くなったせいで、慣れるのに、多少の時間がかかるかもしれないが、意図さえすれば(すなわち、今この瞬間に生きることを決定すれば)、勝利は確実である。
なぜなら、新たなものを、どこからか得なければならないのではなく、必要なものは、誰もが、既に内に持っているのだからだ。








  
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