禅の公案集『無門関』の35則に、『倩女離魂(せんじょりこん)』という面白いお話がある。
簡単に言えば、こんなお話だ。

昔の中国が舞台だ。
倩女(せんじょ)という名の、美少女がいた。
王宙(おうちゅう)という青年が、倩女を嫁にもらおうと、倩女の両親に頼むが、断られた。
落胆した王宙は、その地を離れることを決意し旅立つが、倩女が追ってきて「連れいって」と言い、駆け落ちとなった。
幸い、行き着いた地で王宙は成功し、金持ちになったので、改めて、倩女の両親に会うこととし、倩女を連れて故郷に戻った。
王宙は、今度は自信を持って、倩女の父親に「娘さんを下さい」と言ったが、倩女の父親は怪訝な顔をする。
倩女の父親が王宙に言うには、倩女は、お前が出て行ってから、ずっと病気で寝込んでいるという。
その時、家に倩女が入ってきた。
すると、寝込んでいた方の倩女が起き上がり、倩女を迎えた。
2人はにっこり微笑み合うと、1人になった。

さあ、このお話の意味は何であろう?
これについて、昔から、偉い先生方や、ちっとも偉くない方々が、様々な解釈を、ある者は自信たっぷりに、ある者は控え目に示して見せた。
天才発明家で能力開発指導者の中山正和氏は、素粒子論でもって語ってみせた。
さあ、あなたには、このお話の意味が分かるであろうか?

別に、不思議でも何でもない。
単に、最後に2人の倩女が1人になったというだけのことだ。
このくらい、「なるほど、もっとも」と思わないようでは、引き寄せマスターにはなれない。
そうでないと、あなたの壮大な、あるいは、都合の良い願望が叶うと、本気で信じられないのだ。
だから、こんな物語ですと言われたら、「ああそうですか。良かったですね」としなければならない。

だがまあ、頭が固くて、なかなか納得出来ないようであれば、不本意ながら、1つの種明かしをする。
これで納得しても、だいたいOKだ。引き寄せは出来る。
まず、王宙は旅立つ時、倩女を連れて行って、着いた地で成功することを想像した。
すると、そのようなパラレルワールド(並列宇宙)が誕生した。
そして、王宙は、その世界で生きることに幸福感を感じて同調したので、その世界に移転した。
一方、倩女の方は、王宙を愛してはいたが、駆け落ちするほどの勇気がなく、心を病んで病気になった。
そこで、王宙が生み出した世界と、倩女がいる世界で、別の倩女が存在することとなった。
だが、病気で寝込んでいた倩女は、自分が王宙と共に行ったと想像し、そんな世界に思いを飛ばし、幸せを感じたので、その世界に移転し、2人の倩女は1人になったのである。

このように、パラレルワールドにはどんな世界も存在し、想像出来れば、新しい世界を作ることも出来る。
よって、あなたは自分で好ましい世界を作り、その世界にいることを「幸せだ」「嬉しい」と思うことで同調すれば、もうその世界に移転している。
ただ、固定観念のために、すでにその世界にいることが分からなければ、古い世界を作り続けるのである。

「キャシャーンよ、お前にも永遠の命を与えてやろう」
「ブライキングボス!お前が作った世界など、俺は欲しくはない。俺は俺自身の手で、新しい世界を作ってみせる」
~OVA『キャシャーン』(1993)第4話『復活のキャシャーン』より~








  
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