大東流合気柔術式四股は、相撲の四股とはかなり異なり、足踏みと同じとか、ペッタンペッタン四股と(別に悪い意味でなく)言う人もいる。
『月刊秘伝2022年3月号』で、総帥であった佐川幸義氏の直弟子だった大森悟氏も、「四股」より「足踏み」の表現が相応しいと書かれている。
ただ、大東流合気柔術式四股には、固定したやり方はないのではと私は思う。
なぜなら、佐川氏の直弟子、あるいは、大東流合気柔術の高段者でも、この四股のやり方についてかなり異なることを言うからだ。

大東流合気柔術式四股は、ただの運動とか筋トレではなく、熱心に取り組めば想像を超える恐るべき成果が期待出来る秘法であると思う。その点、似てはいても、足踏みとは全く異なるだろう。
だが、足踏みだって立派な運動で、毎日やれば十分な効果がある。
ただ、足踏みが普通の歩行に比べて劣るのは、後ろにキックする力の大きさだろう。
普通、若者が歩く姿と老人が歩く姿はかなり異なるが、それは、地面を後ろにキックする力の違いから来る。老人の場合は、それが弱いので、快活に見えないのである。
地面を後ろにキックする力は、言い換えれば、体重を移動させる力だ。
足踏みの場合、体重移動がないので、この体重を移動させるキックの力がつかない。
大東流合気柔術式四股は、やりようによっては、体重移動の力も得られるが、それが主目的ではないと思う。

上でも述べたが、大東流合気柔術式四股とは、正確には、どのようなものか分からない・・・というよりは、固定したやり方はないと思われることもあり、以下、特に、この四股について述べるわけではないので、以下では、単に「四股」と書くが、この四股は、やはり、相撲の四股ではなく、大東流合気柔術式四股に基く四股である。

四股と足踏みの違いは、まず、脚の構えである。
足踏みでは、両足をほとんど揃えるのに対し、四股では、両足を横に開く。
どのくらい開くかは、人それぞれである。
(両踵の間隔が)肩幅の距離に開く人もいれば、もっと大きく開く人もいる。
また、両足を平行にする人もいれば、やや、あるいは、かなり外股(いわゆるガニ股)に開く人もいる。内股は珍しいとは思うが。
これは、野球のバッティングホームと同じで、足の間隔が広い人、狭い人がいるし、王貞治さんやイチローのように、足が平行、あるいは、内股気味の人もいれば、かなりのガニ股の人もいる。そして、どのフォームが正解というわけでもない。
そして、実際に四股を開始すると、片足ずつ上げるのだが、ここで両足の間隔に関係なく大事なことは、身体を傾けないことである。
すると、いくらかでも両足が開いているわけだから、上体の移動、つまり、体重移動が生じる。すなわち、残った足の方に、上体が鉛直に立ったまま動くのである。
当然、両足の間隔が広いほど、上体の移動、つまり、体重移動が大きくなる。
やってみれば分かるが、両足の間隔が広いと、物凄く脚(主にふくらはぎ)が疲れる。その分、脚が鍛えられるのだが、それが主目的というわけではないと思う。
とはいえ、ランニングやウォーキングではほとんど鍛えられない、武術で必要な横方向の体重移動の力が鍛えられることには注目して良い。
ただ、佐川幸義氏は、高速で四股を踏んだというので、おそらく両足幅はあまり大きくはなく、体重移動での筋肉の鍛錬よりは、バランスを取るための仙骨の微妙な感覚を鍛えたのだと思う。
また、四股でもう1つ、守るべき大切なことは、上げた足を下ろす時、つま先からそっと降ろすことだ。
それから考えても、やはり、四股は微細な感覚を重視するものだと思う。
四股で足腰も鍛えられるが、それ以上に、やはり、感覚や神経を鍛えるためのものだろう。
だから、四股を長く続けると、単なる筋力によるものではなく、不可思議と思える力で不動になり、いかなる技に対してもビクともしなくなるということが起こるのだと思う。

私は、腕振り運動と共に、四股を毎日、出来るだけ行うことにしている。








  
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