ロンダ・バーンの『ザ・シークレット』は、世界で最もヒットした引き寄せ書だ。
だが実際は、内容は全く洗練されておらず、矛盾も多く、引き寄せマスターとして登場する人達の中には、好き勝手に、いい加減なことを言って読者を混乱させているにも関わらず、これほど成功した理由は、この書籍の内容に準じて作られたDVD『THE SECRET』(世界で800万枚以上売れたらしい)の一番最後を見れば分かるように思う。
ロンダ・バーンが、木の棒で砂浜の上に“FEEL GOOD”と書く場面だ。
引き寄せに必要なのは、「FEEL GOOD(いい気分)」であることだけであり、それをこれほど単純に見事に表現したものは他にないのだから、大成功したのである。

ところが、『THE SECRET』(DVD)の中で、名前も覚えていないが、一応は成功者ではあるのだろうが、チャラい男が、
「いい気分になればいいんですよ。こう、『ひゃっほー!!』って感じでね」
と言ったりするから、それだけで、少なくとも、半分の人は引き寄せから遠ざかったと思う。
テンションが高い状態、盛り上がっている状態が気分が良いことだと大誤解させる迷惑なものだった。
「テンションが高い」と言ったら、一般的に、感情が高ぶっている状態と理解され、「やる気がある」みたいな良い意味に捉えている人が多いが、「テンション」とは、「精神的な緊張や不安」のことであり、それが高まったら良いことなど何もない。
そして、感情が高まっている「ひゃっほー!!」の状態というのは、緊張や不安から必死で逃げようとしているだけなのだ。
「ひゃっほー!!」の状態でいれば、ますます、緊張や不安は高まる。

また、『THE SECRET』の中で、賢者ぶった男性の老人が、やはり気分を良くするためという意味だろうが、「美味しいものが食べたいなら食べて下さい」と言ったが、これも最悪なのだ。
必要以上に、美味しいものを食べる、アルコールを飲む、性的快楽に溺れるというのは、やはり、テンション(精神的緊張や不安)を隠す、あるいは、紛らわすもので、そんなことをやれば、ますます、悪い気分を抱え込むことになる。
だいたい、気分が良い時というのは、質素な食事で十分に満足するし、アルコールは不要、あるいは、僅かで良いし、性的刺激も、少なくとも、過度なものは不要で、むしろ、過度なものを嫌悪するのである。

「ひゃっほー!!」や馬鹿騒ぎは、引き寄せを止め、不幸に落ち込ませる原因でしかない。
ロックコンサートで、テンションが上がって、大いに盛り上がった後は惨めな気分だと思う。幸せが逃げたのだから。
良いロックは、荘厳ではあっても静かなものである。
坂本龍一さんが作曲した『BEHIND THE MASK』をアメリカの人達がロックと見なしていることを、坂本龍一さんが驚き、坂本龍一さん自身が、この曲がロックであることを理解するのに20年かかったという面白い話がある。作った本人が、ロックを作ったという意識がまるでなかったのだ。
だが、これはロックの超名曲で、エリック・クラプトンやマイケル・ジャクソンらもカバーしたが、彼らは、商業的成功のため、これを、テンションが上がる、俗っぽいロックにアレンジしてしまったように思う。
本来の『BEHIND THE MASK』は、荘厳で静かな曲なのだ。

人間は、まずは、生存が保証された時に、いい気分になる。
衣食が十分であるとか、しっかりとした住む家や仲の良い家族があるといった状態だ。
あるいは、就職出来たとか、出世したとか、幸せな結婚をした時に、生存が保証されたように感じ、気分が良くなる。
逆に、これらが得られないと、気分が悪くなる。生存が保証されず、不安定であるのだからだ。
いわゆる、「マズローの欲求の5段階」は、生存の確率が高まっていく過程に沿っている。
しかし、いかに、物質的な生存の可能性を高めても(お金や地位があっても)、究極的な満足を得られないばかりか、むしろ、それ(物質的成功)が過度に高まると気分が悪くなる。
それで、マズローは「自己実現」というわけの分からないことを言って誤魔化したが、それが誤魔化しであることは本人も分かっていたようで、死ぬまで「自己実現」について、いろいろ取り繕っていた。
人間は、いつか死ぬのだから、生存の保証など、あるはずがない。
しかし、自分が肉体ではないこと、実に、「存在(生存とほぼ同じ)」でしかないことが分かれば、生存の保証など全くの不要だ。
ただ、それを理屈で理解しようとしたら、やっぱり、迷ってしまい、気分は悪くなる。
人間の頭脳は、霊的なことを理解出来ないのだ。
霊的に理解するには、ただ、「私は在る」と、心の中で、穏やかに丁寧に唱えれば良いだけである。
人によっては、神の名を唱えたり、念仏を唱えることが向いている場合もある。
すると、真の自己であり、「在りて在るもの」である神(あるいは仏)の方から来てくれる。
いきなりこんな説明では分からないと言うなら、「私は気分が良い」と、静かに穏やかに心の中で唱えれば良い。「私は最高の気分だ」でも良い。
そうすれば、やはり、存在(神)がやって来るだろう。








  
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