世界には、非常に美しい場所がある。
そんな場所に住む人々は、さぞや幸福かというと、そんな場所に都市が栄えた試しはないらしい。
例えば、ハワイのある極めて美しい所では、麻薬中毒患者が増え、それを取り締まっているうちに人間がいなくなり、観光地としても賑わうことのない寂しい土地になったとか。
どうも、人間は理想的な場所には住めないようだ。

それと同じ心理が作用していると思われるこんな話がある。
ある優れた科学者に、「研究が完成したらどうするか?」と尋ねたら、本当に賢いその科学者は、「決まっています。専門を変えます」と答えたそうだ。
彼は、目標を達成したら、すぐ、次の目標を設定しないと、人間は心が病んでしまうことを知っているのである。
そんな真理を発見したというより、そんな実例を目の当たりにして学んだのだろう。
だが、目標を達成する度に、新たな目標を設定していたら、永遠に終わらないラットレースに閉じ込められることになる。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、パソコンOSの市場を制し、世界一の富豪になったが、彼の古いセンスはIT世界で通用しなくなり、彼はマイクロソフトを去り、バイオテクノロジー、エネルギー、教育の分野に転身した。
しかし、それらの分野では、既に何十年も取り組んでいる人が沢山いるので、本当は、そんな人達に敵うはずがないが、彼には膨大な富があり、重く扱われたことで、悪いことになってしまったのだと思う。
今はまだ、離婚したくらいのことしか知られていないが、彼は今は幸福な人ではないと思われる。

成功した人達は、自分が若くて最前線の現場に居た時のことを懐かしむのだ。
中には、せめて部長レベルに降りて、現場の指揮を取りたがる者もいるが、そんなことをされたら、現場にとっては迷惑以外の何物でもない。

つまり、アンデルセンの『モミの木』のように、今が幸福であることを早く悟らないと、どんどん悲惨になっていくだけなのだ。
ここで重要なことを指摘する。
どんな状態であろうと、今すぐ幸福になれるし、そうなれば、外部状況も自ずと良くなるのだ。
これこそが、唯一の、そして、究極の成功哲学である。

合氣道家の藤平光一氏の著書全部を、ざっくり要約すると、「氣を出せば幸福である」だと言ったら文句を言われるかもしれないが、そうとしか思えない。
若く、現場で四苦八苦していても、氣が出ていれば幸福だが、成功して億万長者になっても、氣が出なくなれば、不幸で悲惨なのだ。
そして、悪い状況にあっても、氣が出れば、状況も良くなる。
藤平氏は良いヒントを与えてくれたが、捉える我々が失敗しているのかもしれない。
どうすれば氣が出るかというと、藤平氏が、「氣が出ていると思えば出る」と書いている通りなのに、普通の人は、「そんな言い方は嫌」なのだ。
それは、学校的、教科書的でないからだ。
学校の試験で、「どうすれば氣が出るでしょう?」という問題に「氣が出ていると思うこと」と書けば正解というのはあり得ない。
学校は、そんな言い方はしない、
しかし、それが正解なのである。

ある事業家がライバルに恨まれ、ライバルは超一流の殺し屋を送り込んできた。
ただならぬ雰囲気の殺し屋を見て、事業家は氣を出した。
すると、その、トップランキングの殺し屋は握手を求めてきて、去って行った。
似た話が、チン・ニンチュウの『誰でも小さなことで大切な願いがかなえられる』にあるが、こちらは多分、脚色されている(分かり易くするためで、悪意はないと思う)。

氣を出す方法はいろいろあり、藤平氏の本にもいろいろ書かれている。
だが、一番の方法は、「私は在る」と感じることだ。
その感覚を掴むために、心の中で、言葉で「私は在る」、あるいは、「私は存在する」と唱えても良いが、呪文にしてはならず、感じなければならない。
ネヴィル・ゴダードの『At Your Command(翻訳:新装版 世界はどうしたってあなたの意のまま)』に書かれているのは、ある意味、そんなことである。








  
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