旧ソ連では、超能力研究に多額の予算をかけ、実用目的を念頭に研究が行われていたという話を書籍などで見たことがある。
その中で、こんな話を印象深く憶えている。
おそらく、ソ連の国家研究機関で行われたことだと思う。
1人の平凡な、絵心など全くないと思われる労働者に催眠術をかけて催眠状態(変性意識状態、あるいは、トランス状態)にし、「おまえは偉大な画家だ」という暗示を与えた。
すると、その後、この労働者は猛然と絵を描き始めたが、最初は、彼が描いたのは子供が描くような絵だった。
しかし、みるみる上達し、作品は高く評価され、クレムリン宮殿に展示されるほどだったという。
多数の事例があれば良いのだが、私が知っているのはこの1例だけである。
しかし、どんな人間にだって無限の能力が秘められており、これも、特に驚くような話とは思わない。

では、次の話はどうだろう。
これは、著名な発明家で超能力研究家であった橋本健氏(工学博士)と、やはり著名なヨガ研究家であった本山博氏(文学博士)の共著である『超能力入門』(1983)にある話である。
ポーランドの芸人ボルト・メッシングは、舞台で超能力パフォーマンスを披露していたが、1939年のナチスのポーランド侵攻時にソ連に逃亡した。
経緯は省くが、メッシングは、ソ連の最高指導者ヨシフ・スターリンの別荘に単独侵入することになった。
当然、スターリンの別荘は大勢の兵士により厳重に警備されていたが、そこに、通行許可証も持たずに一般人であるメッシングが入って行き、スターリンに会おうというのである。
どう考えても不可能なことであるが、メッシングは楽々とやり遂げた。
どうやったのかというと、メッシングは「私はベリヤだ」と強く念じたのだ。ベリヤとは、誰でも顔を知っている秘密警察長官で、彼であれば、通行証も誰の許可もなくてもスターリンの別荘に入っていけた。
私は、催眠術的パフォーマンスで、これと似たことをやるのを、実際に見たことが何度かある。
1つは、ある気功師が講演の際、講演会場にいた受講者に気をかけ、受講者に、この気功師を自分の父親だと信じさせた。
これは、気の力とは言っても、催眠術の一種のように思えたが、メッシングの場合は、催眠術による集団催眠を使ったのではなく、何らかの超能力で、兵士達の意識に影響を与えたと思われる。
この本では、念じることで、自分のなりたいものになる方法も書かれていたが、それは、そもそもは、「私は〇〇だ」と自己暗示をかけることだろう。
フランスの著名な心理学者エミール・クーエは、他者暗示も本質的に自己暗示であると述べており、暗示は自分で出来るはずである。
そして、暗示が効果を発揮するポイントは、「トランス状態で暗示が与えられる」、あるいは、「反復して暗示が与えられる」ことである。
ならば、誰でも出来ることとして、「私は〇〇である」と、繰り返し唱えれば良い。
ただし、感情的に唱えると心が反発する危険があるので、「静かに、ゆっくり、丁寧に」唱えれば良いと思う。
次に、トランス状態で自己暗示を行う場合を述べる。
自分1人でトランスになるには、呼吸を調整すれば良いが、禅の修行法である「数息観(すうそくかん)」が簡単で薦められる。
これは、ただ、自分の呼吸を数えるのだが、次のようにやるのがやり易いと思う。
息をやや深く吸った後、心で「ひとつ」と言いながら、細く長く息を吐く。
これを「ひとつ」「ふたつ」「みっつ」と数を数えながら行い、「とお(十)」まできたら、次は「ひとつ」に戻る。
十まで数えることを数回繰り返せば、ある程度のトランス状態になっているはずである。
ただし、十まで数えるつもりが、気がついたら「じゅうういち」「じゅうに」とどこまでも数えてしまうことが多いものである。
それは雑念のためであり、それではトランスが浅いだろう。
この数息観をちゃんと出来るようになれば、かなりの精神統一が出来ていて(トランス状態になっていて)、自己暗示が潜在意識の中に入り込み、「私は〇〇だ」という状態になっていくだろう。
2つの方法を合わせて行うと、非常に効果的と思うが、まずは、自分に合った方法はどちらかを考え、そのやり方で行えば十分と思う。








  
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