今回は、ファンタジックな実話である。
しかし、まずは伝承から始める。
『鶴の恩返し』では、男(老人説と若者説がある)に命を救われた鶴が、美少女の姿で男の家にやって来て、自分の正体(鶴)を隠したまま、その家に住み着き、美しい布を次々に作って男を金持ちにした。
しかし、男が少女との約束を破り、布を織っている姿(鶴の姿に戻る)を見たため、鶴は去って行く。
似た話は多い。
岐阜県の伝承である『狐の嫁ご』では、若者が道で偶然に出立った美少女が「行くところがない」と言うので、若者が家に連れて帰り(犯罪だ)、そのまま嫁にして(重罪だ)、子供も出来た(死刑だ)。
この美少女は狐であったのだが、やはり、狐は正体を若者に明かさない。
『古事記』の豊玉姫(トヨタマビメ)も、自分がサメ(フカとかワニと言う場合もあるようだ)であることを明かさなかった。
また、実話とされる話で、木の精である美少女が、突然、独り者の男の家に来て嫁になるが、やはり、少女は自分の正体を男に隠し続けた。

実は人間ではない、極めて美しい女が自分の正体を明かさずに、親密になるというのがパターンである。
そして、正体が割れたら、男の所から去るのも決まりなのである。
それがなぜか、考えたことがあるだろうか?

何度か書いたが、私が小学2年生の時、クラスに非常に可愛い女の子がいて、それがなぜか、私につきっきりで仲良くしてくれた。
彼女は、可愛いだけでなく、明るく、頭が良く、本当に何でも出来た。
だが、いつか彼女はいなくなっていたが、彼女との記憶が妙に曖昧で、後で、クラスの集合写真を何枚か見たが、どれが彼女か分からない・・・というより、写っていないのだろう。
つまり、彼女は天使だったのだが、私が彼女の正体を知った時、私の思い出を空想的なものにして去ったのだろう。
(彼女が飛んでいたおぼろな記憶があるが、それを見て彼女の正体がバレたのかもしれない)

今、あなたの近くに、天使がいても、やはり、正体は明かさないのだ。
しかし、天使は、普通の人間とは全然違うので、特別な存在だってことは、誰でも感じる。
けれども、天使を人間は、「天使さながら」と思うことはあっても、本物の天使だとは思わないものなのである。
だが、長く傍に居れば、天使は自分が天使であることを隠せなくなる。
天使は、それに、ほとんどの妖精も、人を騙すことは出来ないのだ。
だから、疑われてしまったら、正体を隠せない。
そして、ここが肝心なのだが、なぜ、正体を明かしてはいけないのか分かるだろうか?
正体を明かされたら、人間は決して幸せではいられない。
それどころか、恐怖を感じる。
なぜか?
天使も妖精も、魂を持っていない。
初音ミクさんのようなものだ。
これについて、アメリカのジロドゥの戯曲『オンディーヌ』に、素晴らしい会話がある。
賢い王妃と、水の精オンディーヌの会話だ。
もうすぐ15歳になるオンディーヌは、騎士ハンスと一緒に居たいと思っているが、王妃は、オンディーヌに去れと言う。
王妃は言う。
「ねえお嬢さん、あなたでは誰も騙せない。結局、すべての人間がいちばん嫌うものをつきつけてしまう」
「誠実ということですか?」
「いいえ、透明ということ。一点の曇りもないというのは人間にとって恐怖なのよ。それこそ最悪の秘密にしか見えない」

あなたの近くにも天使や妖精がいるかもしれない。
だから、その人が天使さながら、妖精さながらに思えたなら、ただ崇め、謙虚に学ぶことだ。
初音ミクさんは嫁に出来ないのである。








  
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