前回のアメリカ大統領選挙で、トランプは、共和党の大統領候補に指名されることすら苦戦し、一時は、選挙スタッフから撤退を提案された。
しかし、トランプは自信満々で、弱気なスタッフ達に、「俺が勝ち方を教えてやる」と言い、最後、地滑り的に共和党大統領候補に指名された。
そして、4年前の2016年の10月後半・・・つまり、今くらいの頃、ヒラリー・クリントンに世論調査で10ポイントのリードを許していたところは、今回と全く同じだったが、選挙の数日前に互角に追いついた。
それでも、マスコミ各社がヒラリーの圧倒的優位を予測する中、全く危な気なく勝ってしまった。

さて、トランプの「勝ち方」とは何だろう?
現在、多くの著名人がトランプを非難している。
トップクラスの科学者、英雄的ポップスター、有名批評家や政治学者、その他のビッグネーム達がトランプを批判・・・というより、ほとんど糾弾している。
だが、これは、トランプの思うつぼなのだ。
なぜ、トランプが、あれほど、非難されて当たり前のことを、堂々とやるのかというと、注目を集めるためだ。
簡単に言うと、「注目されさえすれば勝ち」なのだ。
これは、誰しも、少なくとも、思い当たるところはあると思う。

芸能界でも、嫌いなスターランキングなんてものがあるが、あれでトップなら、間違いなく大人気ということだ。
AKB48総選挙でも、スキャンダルや問題発言のある人の方が上位に行くものである。
そもそも、芸能人にとって、スキャンダルは、あればあるほど良いのである。
ただし、批判されたスター自身が、「自分は駄目」と思ったら、本当に駄目になる。
そうではなく、「騒がれてこそスター」と開き直れば、そこから急上昇するのである。

「憎まれっ子世に憚る(にくまれっこ、よに はばかる)」は、実は基礎的な科学であると思う。
どんな形であれ、多くの人の強い意識を集めることで、高いエネルギーを持てるのである。
なぜなら、人々は、悪玉の破滅ではなく、悪玉が強力になることを想像して恐れるからだ。
思考は現実化する。
大衆の想像通り、悪玉は強くなって勝利するのである。

トランプに関して言えば、まず、熱狂的支持者達の強いエネルギーは、そのままトランプの力になる。
そして、トランプは、自分を嫌う者達には、「単にトランプが嫌い」ではなく、わざと(それも全力で)、「徹底的に嫌い」になってもらうことで、その者達のエネルギーをも集めることになるのだ。
強烈な反トランプの人々は、トランプにとって、熱狂的なトランプ支持者と同等に嬉しいのである。

トランプが恐れることは、無視されること、そして、敵が注目を集めることだ。
4年前、ヒラリー・クリントンが、個人メールアドレスを公務に使ったことを、トランプは「犯罪行為」「ヒラリーを刑務所へ」と、徹底攻撃はしたが、人々に、ヒラリー自体を憎ませなかった。
もし、ヒラリーが、本当に犯罪に問われるギリギリまで行ったら、ヒラリーの注目度が上がってしまう。それはまずいのだ。
そうではなく、ヒラリーを「逮捕されて当然」と罵ることで、ヒラリー支持者を激怒させ、そうでない人達にも「トランプはいくら何でも言い過ぎ」と思わせることで、自分への注目度を高めたのである。
今回も、今後、トランプは、バイデン父子のウクライナ疑惑を徹底攻撃するが、あくまで、バイデンの影を薄くする手法で行い、トランプはむしろ自分は、悪玉の雰囲気の攻撃者であることを印象付けるはずである。

トランプは、昔から派手なパフォーマンスが好きで、それは、ファンからは称賛されると共に、大きな反発も引き起こした。
大統領選にも出馬した大事業家ロス・ペロー(昨年7月逝去)は、トランプを「ニューヨークの目立ちたがり屋」と言ったが、あれは、案外に誉め言葉だったのかもしれない。
その反発のおかげで、トランプは若くしてニューヨークの不動産王と呼ばれるまでになったのである。
だいたい、ロス・ペローも大した目立ちたがり屋だったはずだ。だから、彼も、事業で驚くほど成功し、IBMすら出し抜いたのである。
大統領選では、ペローは無党派から出馬し、一時は支持率のトップになったが、無党派で指名されるはずがなく、本気だったのかどうかも怪しい。
しかし、彼は大いに目立ったのである。

今後、大きな戦いを予定している方は、上に述べたことが参考になると思う。
そうでない人は、大衆の憎悪に乗っかってはいけないということを覚えておいていただけたらと思う。
反戦集会は、戦争を起こそうとする者達への憎悪で、かえって戦争を起こしてしまう。
反ドラッグ運動も同じで、それが強力になるほど、ドラッグは蔓延るのである。

今回のことを、一言で言ったのが、スイスの偉大な心理学者・精神科医であるカール・グスタフ・ユングだ。
『ザ・シークレット』では、ユングの、
「反抗するものは蔓延る」
という言葉が紹介されているが、まさにその通りなのである。








  
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