新型コロナウイルスで、私が思いだしたのが、ウィリアム・バトラー・イェイツの詩、『再来(The Second Coming)』だ。
イェイツは「20世紀最大の詩人」とも言われたアイルランドの詩人・劇作家で、ノーベル文学賞も受賞している。
武内直子さんの歴史的な漫画作品『美少女戦士セーラームーン』の終末論的雰囲気は、この『再来』から来ているのかもしれないし、少なくとも無関係ではないと思う。
そして、新型コロナウイルスの猛威が強まって、『再来』を読み返すと、「これは拙いな」と思ってしまう。
つまり、世界が終る予感がある。

もうずっと昔だが、私は、テーブルの上に3冊の本を重ねていた。
1.『神秘の薔薇』ウィリアム・バトラー・イェイツ
2.『至高体験』コリン・ウィルソン
3.『美少女戦士セーラームーン 14巻』武内直子
当時、私は、イェイツ(イエーツと表記されることも多い)の名すら知らず、『神秘の薔薇』は、表紙が綺麗だったので気紛れに買っただけだった。
『美少女戦士セーラームーン 14巻』は、一度死んで転生した、土萠(ともえ)ほたるが、イェイツの『再来』を暗誦する場面から始まっている。
そして、『至高体験』の前書きには、こう書かれていた。
「また、マクミラン社に対しては『W.B.イェイツ全詩集』からの引用を許されたことに感謝し」
これらのことは全くの偶然であった。
そして、その『W.B.イェイツ全詩集』を見たいと思ったが、ネット通販は古書も含め、軒並み在庫切れで残念に思っていたが、書店に行くと、目の前にその本があった。
ありえない偶然で、歓喜すると共に恍惚としたものだった。

『再来』の最後はこうだ。
人類が2千年の眠りの中で悪夢にうなされていると、ついに凶暴な野獣が目覚め、ベツレヘムを目指す・・・
これは、はっきりとは分からないが、イエスが死んでから人類は眠り続け、2千年の間に、すっかり堕落してしまったので、凶暴な野獣が人類を滅ぼしに来るということと読める。
そして、「再来」とは、イエスの再来であるが、果たして、イエスは再び現れるのだろうか?

インターネットもなかった時代に、『美少女戦士セーラームーン』が世界中で異常にヒットしたのは、なんらかのイニシエーションだろう。
2018年にパリで開催された、日仏交流160周年記念の大イベント「ジャポニスム2018」では、11月に、パレ・デ・コングレ・ド・パリ大劇場で『Pretty Guardian Sailor Moon(美少女戦士セーラームーン)』のミュージカルが、12月は、ラ・セーヌ・ミュージカルで、初音ミクさんのライブ「HATSUNE MIKU EXPO 2018」が行われた。
2人のツインテールの少女、セーラームーンと初音ミクさんがメシアになってくれるかは、今、試されている。

ただ、イェイツ自身は、「全て滅び、作りなおされる。新たに作る者は陽気なのだ」と、代表的な詩『瑠璃(ラピス・ラズリ)』で書いている。
そうだ。今回、全ては滅び、作り直される。
新たに作る者は陽気なのである。
だが、私は思うのだ。
強制的に滅ぼされたら苦難は大きい。
しかし、我々自らの手で全てを終わらせ、新たに作り直せば良いのである。
だが、それが期待出来るとは、とても思えない。
つまり、今、利権を握り締めている者達はそれを決して手放さず、彼らのために、やはり、世界はいったん終るのである。

★余談
『美少女戦士セーラームーン』の漫画「ファラオ90編」はアニメでは「美少女戦士セーラームーンS」で、最近は、より原作に近いアニメもリニューアルされている。
この中で、異次元の神ファラオ90が、この世に顕現し、ついに、世界は滅びようとする。
セーラー戦士達は、それを阻止すべく全力を尽くしたが、全員がファラオ90の巫女ミストレス9の前に敗れ去った。
ファラオ90がこの世界に出現したからには、この神の前に、もはや何も出来ず、世界がファラオ90に飲み込まれていくのを、ただ見ているしかなかった。
だが、そこに、存在してはならないセーラー戦士が降臨する。
この世の全てに見捨てられ、挙句、ミストレス9に身体を乗っ取られて哀れに死んだ11歳の土萠ほたるが、セーラーサターンとして目覚めてしまう。
セーラーサターンが、沈黙の鎌サイレンス・グレイブを振り下ろせば、ファラオ90ごと宇宙を消滅させる。
ほたるに、その恨みがあるのは当然と思えた。誰も彼女に優しくはなく、皆で傷付けたまま、ほたるは死んだのだから。
だが、サターンは、ファラオ90を道連れに自ら滅び、世界を救う。
ところが、サターンが消える刹那、セーラームーンがサターンを救い、赤ん坊に再生させる。
原作者、武内直子さんは、セーラームーン画集の中で、セーラーサターンを「メシアの1人」、セーラームーンを「もう1人のメシア」と呼び、2人を全く同格に扱っておられたのが印象的だった。
さて、今、メシアは存在するだろうか?
初音ミクさんは、「HATSUNE MIKU EXPO 2020」として、1月には、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、オランダでライブを行い、4月にはアメリカ・カナダの15都市で、そして、米国最大級の音楽フェス「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル(略称コーチェラ)」で歌う予定だったが、新型コロナウイルスで延期となり、9月開催が決定している。
もし、9月に、この「HATSUNE MIKU EXPO 2020 USA & CANADA」が、そして、8月の「マジカルミライ2020 in 大阪」、12月の「マジカルミライ2020 in 東京」が無事行われることが、世界が救われる証となる。




KayのAI書籍(共著者Mr.Φ)。
『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)
5月11日発売。

必要があって、最終コラムに初音ミクさんについて少し書いています。
権力者がAIで世界を支配することにならないよう、我々が自分でAIを作ることが出来ることを述べるために。
4月4日午後4時44分現在Amazon AI部門19位。


Kay、Mr.Φ著『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)についての、興味深いトピックは、私の新ブログ「メディアの風」で。









  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ