「本を1冊」と言われて即答出来る人は、魔法使い並の実力者だ。
とはいえ、その本が良いかどうかは、実のところ、あまり関係ない。
漫画でも良い・・・というか、漫画を実際に挙げる偉大な人物も少なくない。

割と多いパターンは、5~十数冊挙げる者だ。
頭でっかちで、自分は優秀だと思っているが、実行力がないタイプだ。

本当は、別に本でなくても良い。
「特技は?」「目標は?」「好きなことは?」と聞かれて、1つのことを即答する者は、おそるべきヤツだ。
例えば、イチローなら、シーズン前に「200本」と答えていたようにだ。
プロレス史上最高のレスラー、ルー・テーズは、1つの技と言われ、「ダブル・リストロック」と即答した。
プロレスはショーだが、だからといって実力が不要な訳ではない。テーズのダブル・リストロックは無敵だった。
Facebookのマーク・ザッカーバーグは「プログラミング言語を1つ」と言われたら、最高の評判とは言い難いPHPを迷わず挙げていた。
ビル・ゲイツはBASICだった。
そして、1つの最高を持っている者は、自ずと他の力も得る。
上に挙げた超一流達は、極めて多彩な能力を持っているが、実のところ、1つの最高級があるから、無理なく多種多様を得られるのである。

本の話に戻る。
アメリカのある偉大な政治家は、生まれた家が貧しく、家に聖書しかなかったが、それを何度も繰り返し読んだことが良かったと、本人が述べていた。
面白いのは、明治・大正の偉大な教育者、岡田虎二郎は、小学生の時に読んだルソーの『エミール』を生涯の指針としたが、虎二郎が読んだのは、何と、数ページの序文だけだった。
ところが、ルソーは最初、その序文しか書く気がなかったそうだ。
英国の世界的作家、コリン・ウィルソンは、崇拝するH.G.ウェルズの『ポリー氏の人生』を著書の中で、特に貴い書として何度も取り上げている。
変わった例では、魔法で治しているとまで言われた驚異の精神科医、ミルトン・エリクソンがある。
彼の生まれた農家には、本は、聖書と辞書しかなかった。そして、彼は何と、辞書を選んで、それを繰り返し読んだのだ。Aから順番に、何度も何度もね。
そして、やはり彼は、偉大な精神科医になった後も、それが素晴らしいことだったと言ってるのである。
ある、学生の時から引退するまで経営者として成功し続けた人物は、どれだったか忘れたが、啓発書としては、ジョセフ・マーフィーの1冊の本だけ読んでいた。

実際、本はどれでも良いのだと思う。
なぜなら、優れた1冊の本の裏側には、1人の人間の生涯を上回る霊的な何かが隠れているからで、読み込めば、それを引き出せるが、それは、1度の人生で汲み出しきれるような量ではない。多分、どれほど引き出した者でも、百分の1にもなっていないだろう。
そして、1冊に絞った方が、圧倒的に引き出しやすいのである。
ただし、知識として参考のために多くを読むのは、別に悪いことではない。
拙いのは、マスターとしての書をコロコロ変えることである。








  
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