誰でも、たまたまうまくいって有頂天になることが一度や二度はあると思う。
それが人生のテストみたいなもので、そこで躓(つまづ)いて哀れな結果になることが多い。
子供には、必ずこう教えるべきだ。
「もうすぐかもしれないし、ずっと先かもしれないが、お前は何かでとてもうまくいって、沢山の人がチヤホヤしてくれ、もしかしたら、お金も沢山入って来るかもしれない。でもそれは、お前が本当に強いからではなく、たまたまなのだ」
そして、本当の実力について教えてあげないといけない。
成り上がった時には、悪魔が側に控えていて、いい気になっている人間を蹴落として楽しもうと狙っているのだ。

昔、日本で、たまたまテレビで大変な人気者になった子役俳優の男の子がいた。
本当に凄まじい人気で、彼が「気に入らない」と言えば、番組の偉いスタッフすら降板させらるほど丁重に扱われた。
しかし、もちろん、そんな人気が長く続くはずがないが、彼はすっかりいい気になって、ある程度の年になっても自分を磨かなかった。そして、彼を巡る大金も、そんな彼や周囲にとってマイナスに働いた。それで彼は、一時は落ちぶれたが、彼は長く痛い目に遭って、ようやく学んだのだと思う。その後は別のことで成功している。

マイクロソフト社の創業者で、世界屈指の大富豪であるビル・ゲイツは、18歳の時に、友人のポール・アレンと共に、初期のパソコン(当時はマイコン=マイクロコンピューターと言った)のためのプログラミング言語BASICを開発してマイクロソフト社を起業し、たちまち大成功して、天才少年と崇められ、お金持ちになった。
ゲイツはその後も成功し続け、40歳前からずっと、ほとんどの期間で世界一のお金持ちであり続けた。ところが、60歳を過ぎた現在に至るまで、驚異的なことであるが、思い上がることがなかった。
ゲイツが23歳位で、既に大金持ちだった時のこんなお話がある。
彼が社長を務めるマイクロソフトで、事務員の募集をしていた。
それを見てある女性が応募をした。彼女は、子供が独立したので、社会復帰したいと思っていたのだった。
だが、マイクロソフトの面接に行った彼女は、辞める予定の今の事務員の女性を見て、来るところを間違えたと思った。その女性はブロンドの若い美女だった。
けれども、彼女と面接した、すらりとしたハンサムなゲイツは、すぐに、「いつから来れますか?」と彼女に尋ねた。
彼女は、マイクロソフトに入社したが、コンピューターやソフトウェアについて無知だった。
ところが、彼女が何を尋ねても、ゲイツは、彼女が解るまで、粘り強く丁寧に説明するのだった。
マイクロソフトは躍進し続け、大きな業績を上げたある年、ゲイツ達はお祝いの食事会のために高級レストランに行き、彼女も同行した。
だが、普段、大衆食堂か持ち帰りピザで夕食を済ませ、高級レストランなどには行かないゲイツは勝手が分からず、結局、ハンバーガーを注文した。
ちなみに、ゲイツが育った家庭はかなり裕福だった。

私は、単に興味がないので「いいレストラン」に行くことはなく、たまにそんな所に行くと、ずらっと並んだナイフやフォークに圧倒され、実際、使い方が分からない。
ところが、若い人と一緒に行くと、彼らは全くそつなく扱える。
他のことでも、彼らは世間のことはよく知っているのだ。
だが、そんな者というのは、特別な能力がない。
きっと、時間を使うところを間違っているのだと思う。
まあ、世間のことをうまくやれない者のひがみかもしれないが(笑)。

特に、若いうちは思い上がらずにいることは難しい。
しかし、度を過ぎると、後で必ずツケを払うことになる。驕った分は、容赦なく取り立てられる。
だが、謙虚であれば、自分を抑えた数倍の力が与えられるのである。








  
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