ビートルズの最も有名な曲の1つ『Yesterday』の、特にこの部分を覚えている人は多いのではないかと思う。

Why she had to go?
I don't know, she wouldn't say
I said something wrong
Now I long for yesterday.

つまり、愛する彼女は消えてしまったのだが、その理由が分からないということだ。
30年後に聞いたら、案外につまらない理由だったり、あるいは、彼女の大誤解のせいだったのかもしれない(嫌な話だ)。
普段、この男が、もっと注意深ければ、先に予兆を感じることが出来たかもしれない。しかし、そうではなかった。
まあ、女は星の数なんだから、そう悔やむことはないかもしれないし、後になれば、自分でもそう思うかもしれない。

で、なぜ彼女が言ってしまったか?
それはこういうことだ。つまり、避けられぬ運命だったのだ。言うなれば、「仕方がなかった」のだ。

しかし、もっと本質的なことがある。
そのための正しい問いは、
「なぜ私は、彼女を行かせてしまったのだろう?」
だ。
彼女が消えたのは、この「私」の意思なのだ。

たとえば、ある父親に、不登校の息子がいるとする。
その父親は、評判の良い心理カウンセラーがいたら、「息子はなぜ学校に行かないのでしょう?」と尋ねるかもしれない。
いや、そんなことは聞かず、「どうすれば息子は学校に行きますか?」と聞く父親が多いような気がする。
つまり、「息子が学校に行くスイッチがどこにあるか教えて下さい」と言うようなものだ。
しかしねえ。息子さんが学校に行かないのは、父親であるあなたの意思なのだ。
そう言うと、その父親は断固否定するだろう。
そんな父親は、あまり人生が楽しくないことだろう。
壁に初音ミクさんのタペストリー(織物のポスター)が飾られているのは自分の意志であることは分かっても、テレビからトヨタ自動車のCMが流れてきたり、ビスケットを床に落としたことが自分の意志であることは分からない。
だが、ラルフ・ウォルドー・エマーソンは、そんなことが分かっていたので、
I am the owner of the sphere.(私は世界の所有者)
だと述べたのだろう。

あるアラブ人は、愛する家族を皆殺しにされた時、不意に、それが自分の意志であると気付き、悲しくはあったが、恍惚とした高揚を覚えた(W.B.イェイツの手記より)。
あなたは、なぜ新型コロナウイルスの感染を拡散させ始めたのだろう?
それは、人間としての知識や観念から考えても分からない。
ただ、揺らぎを起こしたかったのである。あなたの意識がね。
あなたは、学校でよく勉強が出来た頭の固い人の決まりきった話を聴いていたら、苦痛になって、そいつを一発蹴っ飛ばすとかして、場に揺らぎを起こしたいと思うだろう。
我々の意識は、世界に揺らぎを起こして変化させたいのだ。
そのために必要だから、新型コロナウイルスを作ったが、不要になれば、それは消える。

まあ、いきなり壮大なもので考えると、戸惑うばかりだ。
ならば、周囲で起こることの全てを自分の意志と思うと良い。
あまりに揺らぎのない生活を送っていると、多くの場合、自分の身体に悪い揺らぎが起こる。それが病気だ。
だから、なるべく冒険をした方が良い。
冒険の中で起こることは、自分の活力ある意思で、そのことを自覚すると、本当の意思と自分が一致してくる。
すると、世界は意のままになってくるだろう。

最初の話(ビートルズのYeaterday)に戻る。彼女はなぜ行ってしまったのか?2人の間が安定し過ぎ、揺らぎが起こらなくなったからだ。そのままでいれば、意識は揺らぎを起こすために、別の男か女を登場させたり、自分か彼女が病気になったりするだろう。
それでも良かったが、意識は別のやり方を選んだのである。








  
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