1967年のテレビ時代劇シリーズ『剣』の第1回、『天下一の剣豪』で、戸沢一刀斉という剣士は、所有する刀が「あなたは日本一です」と語りかけるのをいつも聴いていた。
そして、その通り、あらゆる難敵を打ち倒し、織田信長から「天下一」の称号を受ける。
戸沢一刀斉のように、物が語るのを聞くのは、それほど珍しい話ではなく、精神医学の本などを見ると、そんな症例を見ることが出来ると思う。
戸沢一刀斉も、ある種のパラノイア(妄想症)だったのかもしれない。
だが、珍しいのは、このように、物(戸沢一刀斉の場合は刀)が、常に、同じことを言うことだ。
これは、戸沢一刀斉の精神が安定していたのだろう。
ところで、戸沢一刀斉は「俺は日本一だ」と自己暗示をかけても良かったのだが、きっと、子供の時から、沢山の剣豪を見ている彼には、それはなかなか納得し難いと思う。
別に納得出来なくても、繰り返し続ければ最後は暗示が勝つのだが、やはり彼の場合、若い間は自分より強い者に何度も会ったので、それではぶれてしまうのは仕方がない。
それなら、名刀に心を投影させ、自分に向かって「あなたは日本一です」と言わせることは、上手い方法であると思う。
あなたは、エマーソンのように「私は世界の所有者だ」と言うのは難しいかもしれない。
エマーソンは18歳でハーバードを卒業し、その他のいろいろなことで称賛され続けたのだから、そのあたりは、普通の人とは違うかもしれない。
だから、あなたも、戸沢一刀斉のように、何か、あるいは、想像上の人や物に、自分に向かい「あなたは世界の所有者だ」と言わせても(言うことを想像しても)良い。

以前書いたが、七田眞氏の本で、事実らしいが、あるホームレスの男性が、1日中(暇だったので)、「神様の奇跡が起こる」と唱えていたら、1週間か2週間後、宝くじで一億円を当てた。
その後、また唱えたら、また一億円が当たる。
この場合も、「私が奇跡を起こす」ではなく、「神様の奇跡が起こる」だから良いのである。
日本人は奥ゆかしく、良いか悪いかはともかく、「私」を上段に置くことに慣れていない。
そもそも、その男性はホームレスで、言っては悪いが、人生の敗北者である。自分に対する良いイメージはないだろうから、尚更である。
言葉を深い心が受け入れたなら、世界は心が作る幻想のようなものであり、言葉は実現せざるをえない。だが、それには、かなりの繰り返しが必要になる。しかし、それはあながち悪いことではない。心がすぐに言葉を受け入れ、それが実現してしまうなら、海外のことは知らぬが、日本では、大抵の人は悪い言葉を言ったり思ったりしているのだから、日本はあっという間に滅びる。まあ、その方向に向かっている面もあるかもしれないが、何とか修正出来るだろうし、あなたはもう免(まぬか)れたのである。

以上の話は、謙虚で控え目なあなたの役に立つかもしれない。








  
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