自己暗示は、様々な目的で使われている。
身体や心の健康の増進や、病気の改善あるいは治癒。
性格の改善、能力の強化。
社会的・経済的成功。
これらを引き起こしたという事例は、その全てが事実ではないにしろ、膨大と思う。

医学的、心理学的に説明が出来る範囲のこともあれば、それらでは完全には、あるいは、全く説明出来ないような効果があったことが客観的に報告されたことも、かなりの数であると思う。
中には疑わしいものもあるだろうが、頭から否定することも出来ないものも多い。
それに、これまでは科学的、医学的、心理学的に説明出来ないことも、超心理学的、量子力学的に、かなりの程度の説明がされたり、仮説ながら、考慮に値する理論もあると思う。

その中でも、ナポレオン・ヒルが世界的に普及させた、思考が現実化するという考え方は、実績を積み重ね、今や事実と言っても差し支えないように思うが、これも、一種の自己暗示を活用するものであると思う。
また、フランスのエミール・クーエは自己暗示により、主に心身の状態を劇的に改善する手法で知られるが、その効果は社会的な成功にまで及ぶ。
クラウド・ブリステルやジョセフ・マーフィーらの、願望の現実化の手法は、時に神秘的に感じるので、全く受け入れない者もいるのだが、一方で、社会的地位や評価の高い人物の多くが、その威力を認めている。
チャンピオン・トーチェは、思考の現実化について、科学的な態度で『トーチェ氏の心の法則』を書き、好評を得たが、なぜか今では忘れられた感がある。
これらのどれも、根本的には、自己暗示が大きな役割を果たす。

自己暗示の欠点は、自分の考え方に反する暗示には反発が起こるということだ。
よく言われる例が、「私は金持ちだ」という暗示である。
この暗示により、まだ超自然的と考えられているかもしれない原因で金持ちになることが実際にあるし、そうではなくても、金持ちらしい態度が身に付いて、それが本当の金持ちになる道を開くことも考えられると思う。
しかし、現実には貧乏なのに、「私は金持ちだ」と自己暗示を行っても、心の奥から「そんなことは嘘だ」という声が上がり、そして、暗示はその心の奥の本音の方に従うので、下手したら、ますます貧乏になるとも言われる。
それに対し、エミール・クーエは、問題を特定化せず、さらには、未来のこととして表現することで、心の反発を呼び起こさない自己暗示を提示した。
それが、有名な、「毎日、あらゆる面で、私はますます向上していく」である。
この自己暗示は好評な反面、効果が出難いと考えられていると思う。
そこで、クーエのやり方を転用し、「私は金持ちになりつつある」という暗示を薦める人もいたが、実際は、成果は芳しくないはずだ。
一方、ある世界的な成功プログラムでは、「私は金持ちだ」と、現在形で断言せよと言う。
また、発明家で啓蒙家として知られた政木和三さんは、過去完了形、つまり、「私は金持ちになった」というのが良いと断言した。
しかし、いずれもあまりうまくいったという話はない。

ところが、事業家の斎藤一人さんが、核心を突くことを『千回の法則』で述べている。
それは、「千回言えばそうなる」である。
私は、1万回くらいで効果があると思う。

空手家の大山倍達さんは、確かに、恐ろしく強い空手家であったと思うが、海外でプロレスラーやプロボクサー、その他のあらゆる格闘技の強者と戦って全勝したというのは、かつては信じられたが、今は大半が創作・・・早い話が嘘だとバレているのだと思う。
しかし、『大山倍達正伝』で見たが、大山さんは、「嘘も百回言えば真実になる。千回言えば伝説になる」と言ったらしい。
冗談や言い訳に聞こえるし、本人も、そのつもりで言ったかもしれないが、妙なところで真実である。
実際に、大衆はその嘘を信じたし、何より、大山さん自身が、その嘘を信じたのだ。
その結果、彼の空手組織は世界的になり、総理大臣が組織に参加し、彼は少年達や若者を中心とした時代のヒーローになった。
良い意味でも、「嘘も百回言えば真実になる」。
だが、本当は、百回というのは少な過ぎ、千回でも少ない場合が多い。
念仏のように、子守唄のように、常に唱えれば本当になる。
ただし、感情を込めずに淡々と・・・が秘訣である。








  
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