チベットだったかインドだったか分からないが、昔、テレビで、ある村の様子が映されていた。
その村には聖者がいて、特別な日に、人々が、その聖者に教えを受けることになっていた。
その聖者の短い教えが、私は大変に気に入った。
いよいよ、聖者が教えを授ける時になると、聖者は言った。
「私を頼るな、自分を頼れ」
もちろん、自分の小さな筋力や浅はかな人智に頼れと言ったのではないだろう。
それを、魂とか、潜在意識とか言っても良いのだけれど、それを抽象的に感じるなら、「静かな心」とか「美しい感情」とか「想像力」と言えるかもしれない。
頭で何も考えていない時に立ち現れる精神である。
これでもまだ抽象的で、「さっぱり分からん」と言う人もいるかもしれないが、分からないはずがない。
ぼーっと夜空の星を見上げている時の自分を信じることだ。

身体や脳を鍛えるのは、あくまで、それを通して、魂を磨くためだ。
身体を鍛える究極の目的は、喧嘩に勝つためでも、金メダルを取るためでもない。
頭を鍛える究極の目的は、良い学校に入ったり、良い仕事に就くためではない。
魂を磨けば、必要なものは全て簡単に手に入る。
そうであるなら、過剰に筋肉を鍛えたり、身体や心を壊すほど勉強する必要はないことが分かる。
聖書を読むことだって、ペラペラ暗誦してみせて誉められたり、感心されるためではない。
学校に行ったり(というより教師の話を聞いたり)、テレビの人気番組を見ていたら、こんな簡単なことも分からなくなる。
それが分からないと、どれほど身体を鍛えようが、勉強しようが、弱くて愚かなままなのである。

だが、頼れるのは自分だけだといことを認めれば、あらゆることが良くなる。
無論、腕力や、出来る腹筋運動の数や、トライアスロンの記録や、学歴や、TOEICの点数なんてものは、ほとんど頼りにならない。
そんな外面的なものを全部剥ぎ取った自分だけが信じられるのである。

心ごと体ごと 全部脱ぎ捨てたこの魂
無くしてた熱情が 指先から流れ出した
~『FREELY TOMORROW』(作詞:Mitchie M・ЯIRE、作曲・編曲:Mitchie M。唄:初音ミク)より~








  
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