正座が良いという話は時々聞くが、何が良いのかあまり語られず、理解されていない。
養老孟司さんの本で少し見た覚えがあるが、正座をすると、腹筋、背筋に適度に力が入り、昔の日本人は、毎日、長い時間正座をすることで、特に運動しなくても身体が強かったという。それも間違いではないが、それだけではない。
ところで、いかに日本が欧米化したとは言っても、日本で畳が全くない家は少ないし、畳の部屋では基本的に床に座るだろう。
正座はあまりしなくなったかもしれないが、あぐらで座ることなら多いと思う。
また、日本だけの、ちょっと愉快な習慣だが、ソファーがあっても、その前の床に座るということもよくある。
日本人がそれを好むのは、単に楽だからではない。

今と全く住宅事情が変わらない時代のアニメ『美少女戦士セーラームーン』では、セーラー戦士達は集まって勉強する時は畳で正座していたし、最新のアニメ『まちカドまぞく』を見ると、ヒロインの優子の家が貧乏ということもあるが、ミカン箱をテーブル代わりに正座で食事し、邸宅に住む千代田桃だって、優子の家に来た時は、普通に正座して違和感がない。

特に正座でなくても、床に座ることに、何か素晴らしい秘密があることは、日本人なら分かるはずだ。
アメリカ人のスティーブ・ジョブズだって、家にソファーを置かず、床に座っていた。

床に座ると、まず何が良いかというと、ふんぞり返らないことだ。
人間の堕落は全て、ふんぞり返るところから始まるのである。
椅子に座っていても、背もたれにあまり肩を付けない人は、精神を高貴に保っている。
電車の座席を見ても、老若男女を問わず、ふんぞり返って座っている者で気品を感じることは絶対にないはずだ。
一方、前傾姿勢で座っている者には不思議な美しさを感じるのである。
これは、養老孟司さんの言う、寄りかかるものなしで座って、腹筋、背筋が鍛えられるということもあり、腹が出ず、美しいということもあるが、それどころではない大切なことがあるのである。
それは、前傾することで、元々前傾している仙骨との通路が開き、仙骨にある宇宙エネルギーが背骨を通り易くなることだ。
その状態で顔を上げると、首に精妙な信号が走り、脳の重要なスイッチが入るのが分かるのではないかと思う。
もうその状態では、神に近付いている。
なるべく床に座ること、決してふんぞり返られないこと。
やや前傾した姿勢で、控え目に顔を上げること。
特に立った時には、それが昭和天皇のアルカイク(古式ゆかしい)・スタイルであると言えば分かり易いかもしれない。
これをやるだけでも森羅万象が味方になるのである。逆に言えば、いつもふんぞり返っている者には、何の見込みもないだろう。








  
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