成功法則、潜在意識の法則、引き寄せの法則が書かれた沢山の本の中で、私が一番気に入っているのは、クラウド・ブリストルの『信念の魔術』だ。
これほど、著者の真面目さ、謙虚さが伝わってくる成功法則の本はないと思う。
彼は、大事業家であるとか博士号を持った学者とかであるのではなく、貧乏な下級兵という底辺からスタートし、新聞記者になり、なんらかの縁で銀行に勤めて副頭取にまでなり、いくつか事業を手がけて成功し、作家になったといった人で、自分が一角の人物であることは認めても、偉い人だという雰囲気は一切見せない。
何となく、初音ミクさんのお父さん、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長の講演会で、伊藤社長の素朴で真面目な人柄を感じたのを思い出す。それでも、伊藤社長には、自信とか力強さというものも感じたのだが、ブリストルもそうなんだろうと思う。

ところで、ブリストルは『信念の魔術』の中で、明確な目標と、それを達成するための熱情が必要であるということも書いているが、ご本人がうまくいった時のエピソードを見ると、案外「ゆるい」のである。
たとえば、ある船旅で、売り切れ寸前になんとかチケットを買って乗船した時、ディナーで船長と同じテーブルに座れたらいいなあと思ったら、実際に、船長の真向かいの席になった。船長と面識があった訳ではなく、また、船内には、自分よりクラスが上の乗客は他に沢山いたに関わらずだ。
そして、これは偶然ではなく、ずっと後で船長に確認したら、船長は、その時のことをよく覚えていて、「なぜか分からないが、あなたを私のテーブルに入れようと思ったのです」と言う。
他にも、ブリストルは、願望を持ちながらも、固執するほどではなく、「そうなればいいなあ」という明るい期待を持ったということが多いように感じるのだ。

ジョセフ・マーフィーも『眠りながら成功する』で、「ソフトタッチさ」の大切さを何度も強調していたが、ブリストルのものは「ソフトタッチな明るい期待」なのであると思う。
これに関し、「魔法を使って治している」とまで言われた、アメリカの精神科医、ミルトン・エリクソンの、こんなエピソードを思い出す。
エリクソンのところに、手のつけられないほどの不良男子高校生が連れてこられた。
エリクソンは彼に、「君が真面目になったら、皆、驚くだろうね」と言うと、彼は、「そりゃ、驚くだろうな」と言った。
エリクソンは、それだけで彼を連れていかせ、連れてきた医師は、エリクソンはその男子高校生を見限ったのだと思った。
しかし、その男子高校生は、すぐに真面目な学生になったのである。
以下は私の私見である。
その不良男子高校生にだって、「皆に好かれるようになったらいいなあ」という願望は、心の奥底にあったはずなのだ。エリクソンは、それを巧みに引き出しのだと思う。
それは一瞬で良かったのだ。
エリクソンは高校生の時、ポリオに感染し、ある日の夕刻、医師が母親に「彼(エリクソンのこと)は明日の朝まで持たないでしょう」と言うのを聴く。
その時、エリクソンは「明日の夕陽を見てやる!」と誓う。
エリクソンには「死なないぞ!」という執念もあったかもしれないが、「もう一度夕陽が見れたらなあ」という頼りない希望ではない、「もう一度夕陽が見れたらいいなあ」という明るい期待があったのだと思うのだ。それを持てることが、エリクソンの恐るべき能力の源であるように思うのである。
そして、それは誰でも出来ることであると思う。









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