今月(2019年7月)8日の午後7時38分、竹村健一さんが89歳で亡くなられた。
私は、ごく若い時から、竹村さんが大好きだった。
竹村さんの、今も世の中に浸透しているフレーズが「日本の常識は世界の非常識」だ。
私は、外国で活動したことがないので、この言葉自体の実感はないが、それでも、転職が多かったことから、「1つの会社の常識は、他の会社の非常識」であることは、はっきり解るのである。
また、私は、システムエンジニアやシステムコンサルタントとして、沢山の会社に関わったことからも、なお、良く解るのだと思う。
だから、会社の指示であろうが、それがあまりに、他社にとっての非常識である場合には、なるたけ関わらないようにした。

また、ある会社が、非常識なことを言っている時、その会社が、「我が社は特別なのだ」と、むしろ、それを自慢することはよくあると思う。
いかにも、世間の常識に囚われない独創性があると言わんばかりであるが、ほとんどの場合、それはただの非常識だ。
独創性というのは、標準を知った上での非常識であるが、標準を知らないユニークさは、やっぱりただの非常識・・・多くは単なる目立ちたがり屋のアホである。

そりゃ、竹久夢二のように、正統な描き方を知らない画家もいるし、彼が有名な画家になった後で、基礎を学ぼうと美術学校に入学しようとしたら、ある大家の画家が、竹久夢二に「君の絵は学校に行くと駄目になる」と、美術学校入学を止められたらしい。
それが、正しかったかどうかは分からない。
一方、ピカソは基礎が極めて高度である上で、ユニークな画法を発明した。

私のプログラミングも、全くの我流だったが、デニス・リッチーやブライアン・カーニハンらの、「プログラム書法」や「プログラム作法」、あるいは、林晴比古さんのプログラミングの本を勉強して、なんとか基礎を持とうと思ったものだった。
すると、ほとんどのプログラマーのプログラミングが、かなり非論理的で矛盾だらけだと解るようになった。
これも全て、竹村健一さんのおかげと思う。

ただし、竹村さんは、標準がない世間の常識、特に、権威による常識は、徹底的に叩き壊していた。
彼が、NHKに出演出来なくなった理由は、いろいろあるだろうが(NHKの人気アナウンサーに「何アホなこと言ってんの」と番組中に言ったらしい)、元々、権威や無駄な伝統を重んじない竹村さんとNHKの相性が良いはずがなかった。

ある本で、竹村さんが、「26歳にもなって、18歳の女の子を好きになって食事も喉を通らない」という男性に、「なら、1週間くらい食べなかったらいい。そしたら、食べることの方がずっと大事やって分かるやろ」と切り捨てた上で、「26と18なら8つしか違わんやない。私なら、二十歳の子とでも平気で付き合いますよ」と言っていたのをよく覚えてる(当時、竹村さんは50代だったと思う)。
また、ある大物の外国人が、メガネのテンプル(つる。耳の上にかけるバー)が折れたから何とかしてくれと言うが、周囲の人達がしり込みする中、若かった竹村さんが、ガムテープを巻いて補修して渡すと「ベリーグッド」と誉められたエピソードを紹介し、「変な気を使うもんやない」とも言われていたと思う。

要は、竹村さんは、おおらかで、ものにこだわらず、コセコセ、クヨクヨしないことを重視していたのだと思う。
誰かの言葉の引用だったかもしれないが、彼女にフラれた男が、
「おお!神は私に、新しい女性と愛し合うチャンスを与えたもうた。次の恋人は、前の人よりもっと美人に違いない」
と、ポジティブであることを薦めていた。

テレビCMで、「情報の多いヤツはアカンね。僕なんかコレだけですよ」と言いながら、小さな手帳をかざして見せ、これが「これだけ手帳」として、2008年まで毎年発売された。
情報が多いこと自体は悪くないだろうが、情報に頼るヤツは駄目ってことだろう。
一番頼りになるものを知っていること、また、頼れる人やモノを持っていることの方が大切なのであるはずだ。
特に、薄っぺらな、数だけの情報は、本当に百害あって一利なしであろう。
誰かに誉められる判断ではなく、価値ある判断をすることが重要なのである。
その価値ある判断は、どこから生まれるのか?
会議から良いアイデアが出ることはない。そこには、数は多くてもつまらない情報しかないのだからだ。
だから、「会議の多い会社は駄目」なのである。
かと言って、会議には出てこない現場の要望を吸い上げていたら、たちまち破綻する。
・・・ああ、これは、システムエンジニアとして痛感してきたことだが(笑)。
アイデアというのは、好きなことを自由にやっている時に浮かぶ。
だから、会社でも、一定時間で良いから、そんなことをやらせれば良いし、また、自分で自分の好きなことをやれば良いのである。ただし、自分の力でね。









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