キリスト教でもイスラム教でも、「預言者」というものが尊敬される。
預言者とは、未来予知する者で、平たく言えば予想家であるが、レイ・カーツワイルのようなスーパーな予想家は未来学者、あるいは、フューチャリストと呼ばれ、やはり、非常に重んじられる。

たとえ有名でなくても、高い予測実績のある者は優遇され、政府や大企業から高額で予測依頼されることも多い。
だが、ペンシルバニア大学教授のフィリップ・テトロックの20年に渡る研究によれば、「普通の専門家の予測は、チンパンジーが投げるダーツとだいたい同じ」であることが解っている。
つまり、マスコミでいかにも信憑性があるように取り上げられる専門家の予測は、当てずっぽうと全然変わらないのである。

話半分と考えた方が良いかもしれないが、イギリスのSF作家H.G.ウェルズの『世界はこうなる』に書かれた未来予測は、国連の成立や核兵器の開発等、解り易いものから、政治形態や文化・風俗まで、恐いくらい当たっていると言われる。
彼の、『宇宙戦争』や『タイムマシン』は、いまだ人気が高いが、これらだけでなく、彼のSFには、一種の未来予測的な面白さが確かにある。

MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏は、TEDでの講演で「私はフューチャリストではなく、ナウイストでありたい」と言ったが、ウェウズは実際はナウイストだった。
ナウイストこそが、優れたフューチャリストなのである。
なぜか未訳と思うが、ウェルズの『ポーリー氏の生涯』は、コリン・ウィルソンのお気に入りの作品で、その中でも、ウィルソンが座右の銘にしていた言葉が、
「現実が気に入らなければ変えてしまえばいい」
だった。
『BEATLESS』(長谷敏司氏のSF、あるいは、そのアニメ作品)で、レイシアはアラトに言った。
「デザインして下さい。アラトさんの望む未来を。私にはその未来を引き寄せる力があります」
ウェウズも伊藤穣一氏も、未来をデザインしつつ現実に生きているのだろう。
だから、伊藤氏は、「地図よりコンパス」と言ったのだろう。

そして、レイシアは言った。
「超高度AIは、人間が妄想するように、未来を予測する」
未来は、正確であるほど妄想のように見える。
それほど、実際の未来は謎だし、テクノロジーの進歩がどんどん速まる世界では、さらにそうなのだ。
しかし、力ある妄想が出来る人間は少ない。それこそ預言者なのだろう。
とりあえず、ウェルズ等のSFを読み、思考のフレームワークを学ぶと良いかもしれない。
優れたSF作家には、驚くべきフューチャリストがよくいると思う。









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