事業成功者の話より、ギャンブラーの話の方が面白いのはなぜだろう?
それは決まっている。
ギャンブラーの方が正直だからだ。
成功した事業家は皆、本当はギャンブラーなのに、それを隠す。
そのあたりの事情は、アメリカの投資家マックス・ギュンターの『運とつきあう』に詳しく書かれていて、私は大変に面白いと思った。
事業家に限らず、いかなる成功者も、大博打で勝ったギャンブラーなのであることは、まあ、間違いないだろう。
しかし皆、自分は努力して成功したように言う。
その理由は(その本にも書かれているが)、(1)自分が努力して成功したと思われたい、(2)自分でも努力して成功したと思っている、(3)努力して成功したと言うほうがウケが良い・・・の3つである。

昔のアメリカでは、成功者はギャンブラーとして軽蔑されたらしいが、それは本当だと思う。
日本人は勤勉だと言われ、アメリカ人のリーダー達はそれを称賛する。
だが、日本人の勤勉は、実はアメリカが作ったのである。
戦後、アメリカは、二宮尊徳(にのみやたかのり。よく知られる二宮金次郎は自称)を尊敬すべき刻苦精励の人物という虚像を作って、これに憧れるよう日本人を洗脳し続けたのである。今でも学校にある、薪を運びながら本を読む二宮金次郎像は、アメリカによる、日本人のマインド・コントロール・ツールである。
いや、そもそも、アメリカ政府が、アメリカ人を勤勉にするため、勤勉は善、ギャンブルは悪という思想を作り上げたのだ。
だから、実際は、伸るか反るか(のるかそるか)の大博打で成功したジョン・ロックフェラーも、イメージを良くするため、自ら「勤勉こそ尊し」と説き続けたというのが本当だと、上記の『運とつきあう』にも書かれていて、私は、それを真に受けるというより、「そりゃそうだろう」と思うのである。まあ、エビデンス(証拠)も十分らしいしね。

成功者は、決して、自分が運で成功したとは言わない。
よほど親しみを感じている相手を除いては。
私は一度だけ、ある成功者に「俺が成功したのはたまたまだ。俺と同じことをやっても絶対駄目だ」と言うのを聴いたが、私が親しまれたというより、その場の興が乗っていたのだろう。そして、それが、私が彼を最も正直に感じた時として印象に残っている。
いや、その他の彼の言うことも、思い出せば『運とつきあう』に書かれてることとほとんど同じなので、その本の真実味を感じるのである。
しかし、やはり、成功者は普通は、自分が運で成功したとは言わない。

しかし、大成功者で、自分が運で成功したと言ってくれているのが、銀座マルカン創業者の斎藤一人さんとドワンゴ創業者の川上量生さん(現在はカドカワ社長)だ。
もちろん、彼らが運だけで成功した訳ではないだろうが、彼らと同じくらい能力がある人も、案外ザラにいると思うのだ。
その中で、彼らが成功したのは、絶対的に運があったのである。
斎藤さんに関しては、もうぶっ飛び過ぎてワケが分からないことを書いた本が続々出るが、まあ、彼の初期の本を読んだ方が安全だ(笑)。
そもそもが、斎藤さんの教えの根本は、「ツイてる」と言えばツクのであるから、それを覚えておけば良い。
川上量生さんは興味の尽きない人物であるが、50歳を過ぎて、そろそろ凡人化していないか・・・などと思うが、それは分からない。
彼も、割と思いつきでモノを言うフシもあるので、あまり真に受けない方が良いかもしれない。
だが、彼のツキの鍵は、彼の口癖「だいたい」「わりと」にあるような気もする。
「だいたいやね~」の口癖で有名だった竹村健一さんが、『いい加減のすすめ』なんて本を出していたが、要は、「良い加減」の「いい加減」が良いのだろう。
それが、「こだわらない」「やり過ぎない」「度を越さない」「そこそこ」「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」という、宇宙の美徳・・・すなわち、運を呼ぶ要因になるのである。
竹村健一さんは英語で世に出たが、彼が言うには、「だいたい、僕の英語なんて、素人に毛が生えた程度ですよ」だそうだ。まあ、確かに、そんなに上手い英語ではないと思う。
私もVBA(ExcelやAccessに内蔵されたプログラミング言語)でわりと良い給料を貰っているが、正直、本当にいい加減で、ロクに稼げないVBAプログラマーに「こんなことも知らないのですか?」と言われることもある。
宮本武蔵の剣法だって、柳生宗則のような本格派と比べれば、相当いい加減だったと思うのだ。
しかし、実践の場数が多いと「キレ」がある。
丁度よい例が、大俳優の丹波哲郎さんが大学時代、外務省の通訳のバイトで高給を取っていたが、実は、採用されたのは、面接時の発音に「キレ」があったからだったというものだ。
早い話が、本当には英語が出来ない面接官達は騙されたのだ。
丹波さん曰く。
「そりゃ、米軍のバーでバイトしてたんですよ。だから、発音が違う」
もちろん、そんなんで通訳の仕事が出来るはずもなく、外務省では仕事中、トイレに隠れていたらしい(笑)。
丹波さんは、自分の最大の美点は「こだわらない」だと言う。
つまり、「わりと」「だいたい」なのであり、それがツキを呼ぶのである。









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