「奥の手があるんだ」
これほど頼もしい言葉はない。
もし本当にあればだが。
奥の手とは、必殺の切り札である。
これを出せば、必ず勝てるというもので、いかにいかがわしいものでも、漫画やアニメでは、そんな必殺技があることが、人気の秘密だった。
梶原一騎氏のスポ根ものが人気があったのも、ヒーロー達には、馬鹿馬鹿しく非科学的ながら、単純で印象深い必殺技があったからだ。
『あしたのジョー』のクロスカウンターとか、『巨人の星』の大リーグボールとか、もう絶対にあった。
セーラームーンや歴代プリキュア達にも、必ずあったと思う。

現実のサッカー選手や野球選手、あるいは、プロボクサー等には、そんなものはないように見えるが、実は、彼らは心密かに、それを持っているのだそうだ。
野球のピッチャーなら、「このコースは絶対の自信があり、ここぞという場面で投げる」とか、サッカー選手も自分なりのイーグルショット(キャプテン翼の必殺シュート)があるものらしい。
何と言っても、奥の手、必殺の切り札が自分を支えるのである。
勝つ人間と、勝てない人間の差は、「奥の手」「必殺の切り札」があるかないかの違いだけだということは、「学校で教えてよ」(雪ミクさんの『四角い地球を丸くする』より)と思う。

あなたには、「奥の手」「必殺の切り札」があるだろうか?
ちなみに、野球のピッチャーの「必殺の球」は、必ずしも、それでバッターを仕留めるとは限らないのだが、一流であるほど、絶対の自信を持ってる。
その球で仕留めた時は「ふっ、当然だ」と笑い、失敗した時は・・・すぐに忘れてしまう(笑)。
こういった、心の切り替えを含め、「奥の手」「必殺の切り札」なのである。
自分では、絶対の自信を持たなければならないのだ。
そして、絶対の自信は、果て無き繰り返しからしか生まれない。
空手家の「必殺の三日月蹴り」は、それを何万回、何十万回と繰り返し練習したのである。
会社が潰れようが、社会が不況だろうが、毎日、ExcelのVBAプログラムを書いている者は、それが必殺の切り札になれば、全く平気なのである。

史上最高のプロレラー、ルー・テーズは、ダブルリストロックという腕固めを必殺の切り札としていた。
プロレスは、筋書きの決まったショーではあるが、長いキャリアの中では、相手が変な気を起こして、シュート(真剣勝負)を仕掛けてくることもあるらしい。
しかし、たとえそうでも、テーズには、このダブルリストロックがあるという自信でやり通せたに違いない。
不世出の柔道家、木村政彦にも「キムラロック」という必殺の腕固めがあるが、実は、テーズのダブルリストロックとほとんど同じ技で、ブラジルで柔術の強敵エリオ・グレイシーの腕を、この技で折ったのである。

禅の話であるが、倶胝(ぐてい)という僧が師匠の天竜に教わった必殺の切り札は、人差し指を立てることで、奥の手ながら、いつでも活用した。
だが、死ぬ時、倶胝は、「天竜先生に教わった1本指の禅を使い切れなかった」と言ったようだ。
「切り札は最後まで取っておくものだよ」というのは格好良いセリフであるが、それは、最後の切り札・・・奥の手を持っている者が、ゲーム、あるいは、人生を楽しむセリフなのである。









↓応援していただける方はいずれか(できれば両方)クリックで投票をお願い致します。
人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ
  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ