アニメ『プリキュア』シリーズは、2004年の『ふたりはプリキュア』から始まり、今の『HUGっと!プリキュア』で15年目のようだ。
私は、1年目の『ふたりはプリキュア』は、全巻DVDを揃え、コミックスやムック本(雑誌のような書籍)を買うほどのファンだったが、2年目の『ふたりはプリキュアMax Heart』の途中から、全く見なくなった。
ところで、『ふたりはプリキュア』に登場した敵の女性戦士ポイズニーが言った、たった一言が忘れられない。
それは、「力のない正義は悪に劣るのよ」である。
力のない正義とはプリキュア達2人のことを言っていたのだろう。

ところで、今、不世出の空手家だった大山倍達氏の伝記『大山倍達正伝』という分厚い本を半分まで読んだが、大山氏の座右の銘が、
「力なき正義は無能なり。正義なき力は暴力なり」
であることを初めて知った。
これは、パスカルの『パンセ』に書かれていたもので、『パンセ』には、
「力なき正義は無能なり。正義なき力は圧政なり」
とあるらしい。
私は、『パンセ』は、最初に訳者が長々と解説を書いているのを読んでいるうちに、嫌になって読むのを止めた覚えがある。そんな本はかなり多い。

大山氏は、おそらく今でいう中学生か高校生の時に『パンセ』を読んだようだが、少年時代の大山氏は決してインテリではなかったばかりか、喧嘩三昧に過ごしていた札付きの不良で、勉強はさっぱりだった。
しかし、『パンセ』に夢中になり、生涯大切にしていたようだ。
大山少年は、1人で大勢の敵を相手に戦うのが常だった(子分を引き連れていても、1人で戦った)が、連戦連勝だった。
しかし、ある時、隙をつかれて後ろから頭を下駄で強打され、その後フルボッコにされてしまった。
大山少年は自分なりの正義を貫いて戦っており、喧嘩に負けたことより、正義が悪に負けたことに絶望した。
その時出会った『パンセ』の、その言葉に衝撃を受けたのだ。

巷で売れている本に、『これから正義の話をしよう』とか、『君たちはどう生きるか』なんて本があるらしいが、そんなタイトルを見ただけで私は「勝手に言ってろ!」と思う。
「なんて傲慢なんだ」と怒りが湧き上がるほどだ。
大山氏が生きていた時の、大山氏のドヤ顔も、正直不快だった。
ところで、『大山倍達正伝』に書かれていることで、おそらく本当だろうが、大山氏の生涯の広く知られた話は、大山氏による虚飾で塗り固められていた。
大山氏は2重国籍者(日本と韓国)で、日本と韓国それぞれに家庭を持ち、日本の家族には韓国の家族のことは完全に秘密にしていた。
韓国の家庭が後で、日本に妻子がいる50過ぎの時、大山氏は自分より30歳若い女性と結婚し、子供も3人作っている。
また、若い頃の大山氏は、敗戦後の日本の軍施設から物資を略奪して闇市に売って大儲けし、いい生活をするなど、とても正義とは言えないことをしてたが、弱い者いじめだけは決してせず、それは大山氏には出来ないことだったように思う。
いかに大山氏が嘘をつき、暴力の限りを尽くしていても、正義を超えた何かを感じるのである。
大山氏の前では、話せるような正義など安っぽいものなのだろう。
と言っても、私は決して大山氏が好きな訳ではないのだが、あんなふうに生きたいとも思う。まあ、それを好きと言うのかもしれないが、好きを超えた何かである。
大山氏が、弟子の若い男子達に「きみたちぃ、男は強くなくちゃ駄目だよ、分かったぁ?」と言っていたのは、本気だったのだと思う。









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