「あなたの座右の銘は?」と聞かれて、「はい、これです!」と答えられる人は少ないだろう。
答える人がいても、正直、あまり信用出来ない。
私も確かに、小学5年生の時、あることがきっかけで「過ぎたるはなお、およばざるがごとし」は本当だと痛感したことがあり、これを人生の座右の銘にしようと思ったが、ほとんど思い出すことはなかった。
「敬天愛人(天を敬い、人を愛す)」という、西郷隆盛が著書に書いてある言葉を座右の銘にしているという人がいるらしい。良い言葉だとは思うが、凡人に実践出来ることとは思えない。

ところが、私は最近、座右の銘としようという言葉に出会った。
それは、「存在するとはメンテナンスをすることだ」である。
これこそ真理であると共に、心掛けるべき現実的に重要なことだ。
もし、子供がいたら絶対に教えたい(いないし、作る予定もないが)。
ちなみに、メンテナンスとは、普通、機械等の整備・維持・保守・点検・手入れのことだが、この言葉は、あらゆることを対象にしている。
この言葉は、アメリカの優れたIT系雑誌であるWIRED(ワイアード)の共同創刊者であるケヴィン・ケリーが60年かかって得た啓示であるらしい。
彼のTEDカンファレンスの講演ビデオを何度も見たが(4度講演している)、恐ろしく頭の良い人だ。
しかし、講演の中で彼は、知性において自分を「平均的な人間」と言い、テクノロジーは苦手と言い、新しいことも苦手と言う。
そうだ、自分のメンテナンスは謙虚でなければ出来ない。
ただ、その身体、もっとメンテナンスして欲しい(彼は肥満している)。

二宮尊徳(にのみやたかのり)は、老子の無為自然の思想を、こう批判している。
「人が手を入れなければ、家はあばら家になり、畑は荒れる」
つまり、無為自然などもっての他と言う訳だ。
家も畑も、メンテナンスをしなければ存在出来ないのである。
300年の老舗なんて会社がある。
そんな会社は、伝統も守っているかもしれないが、何より、メンテナンスを欠かさなかった会社だと言える。
そして、メンテナンスをするとは、進歩するということだ。
丁度、スマートフォンの良いアプリが、度々アップデートし、どんどん機能拡張し、性能が向上するようなものだ。
確かに、アプリのアップデートは煩わしいと思う面もあるが、いつまでもアップデートしないアプリは捨てた方が良いだろう。
スマートフォンだって進歩し続け、「はい、進化はここまで」なんてことは絶対にない。
あるとすれば、スマートフォンに代わる新しい別の何かが現れた時だ。

今年の、インテックス大阪での初音ミクさんのライブ「マジカルミライ2018」は、私は珍しく人と行ったのだが、その人に、「お前は身体のメンテナンスをしている」と言われたのをずっと覚えていた。それが、ケヴィン・ケリーの「存在するとはメンテナンスをすること」という言葉に出会い、また、最近読んだ『1976年のアントニオ猪木』が絶妙に噛み合った。
猪木さんは、現役時代、常に節制し、トレーニングを欠かさなかったので、美しいボディーを維持し続けたのである。
猪木さんが、パキスタンの英雄的レスラーであるアクラム・ペールワンと初めて会った時、アクラムは猪木さんを見て「シェイプされている」ことに注目したが、猪木さんはペールワンを「身体が絞れていない。大したことない」と思ったらしい。
プロレラーなら身体のメンテナンスを欠かして欲しくないところだ。特に実力者で売っているならね。

呪文は大切な心のメンテナンスだ。
刃物、自動車、ピアノの腕前、外国語、夫婦や恋人の愛情、会社、法律、国家、それに尊徳が言うように、家も畑も、メンテナンスをしなければ駄目になる。
それは、心も同じである。
メンテナンスしなければ堕落崩壊する。
そして、世界は心が作るのであるから、心のメンテナンスをしなければ、自分の世界は荒れ果てる。
「絶対、大丈夫だ」
「全て順調だ」
「世界は意のままだ」
これら万能呪文の1つを選び、感情を込めず、淡々と、出来るだけ多く心で唱えることで、心はメンテナンスされ、世界は楽しいものになる。
呪文以外の方法もあるだろうが、私には難し過ぎて無理だ。
極楽浄土は遠い彼方にあるのではなく、念仏をする人の心が、今ここに作るのである。









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