SF小説か何かで、こんな話があった。
未来を見てきた時間旅行者が、墜落することになる飛行機に乗ろうとする知り合いを止めようとするが、歴史の改変を許さない宇宙の力の作用で身体が動かなくなって目的を果たせず、そのまま飛行機に乗った知人は死んでしまう。
運命とは、そのように変えられないものであり、つまり、人の運命は決まっている。
神話などでも、宇宙の摂理に反するようなことを試みる者は、ことごとく失敗したり、悲惨な目に遭っている。
例えば、死んだ妻エウリュディケーを黄泉の国から連れ戻そうとしたオルペウスは、所詮、失敗するしかなかったのだ。

では、どうあがいても運命は変えなれないのかというと、人間に留まる限り、その通りだ。
人間は運命に従うしかない。
それは、映画が脚本通りに始まり、展開し、終わるようなものだ。
ところが、宮崎駿さんは、ストーリーを考えずに作っていたらしい。
それで、「後30分しかないのに話が終わらない」なんて鈴木プロデューサーに泣きついたことがあったという。
観ている観客は、予想のつかない展開に興奮するが、何のことはない。元々、監督にも結末は分からなかった・・・いや、決めていなかったのだ。

H.G.ウェルズの『ポーリー氏の物語』(未翻訳)で、ポーリーが「人生が気に入らないなら換えてしまえばいい」と言ったのを、同じイギリスの作家コリン・ウィルソンはひどく気に入り、多分、座右の銘にしていたのだと思う。
そうだ。人生という映画が気に入らないなら、映画自体を換えてしまえばいいのだ。
物理学の量子力学の仮説である多世界解釈(いわゆるパラレルワールドに関するもの)の1つの考え方では、世界なんて、何かの拍子にぽんと1つ発生する。
新しい理想の世界を作り、そっちに移動すれば良い。
それには、自分は役者に過ぎず、自分という人間は単に登場人物で、そんな人間が本当に存在する訳ではないと気付くことだ。
「20世紀最大の詩人」W.B.イェイツは『ラピス・ラズリ』という詩の中で、
「良い役者は自分が泣いたりしない」
と書いている。
その通りだ。
不幸な役を演じたからって、何が悲しかろう。
「良い役者は泣いたりしない」
それを忘れないことだ。
初音ミクさんの『FREELY TOMORROW』のように、「顔を上げて微笑む」ことだ。
それで奇跡が起こるに決まっている。









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