イチローが凄いことは誰でも知ってるが、イチローがなぜ凄いかを理解出来ている人は少ない。
もちろん、才能や努力ということもあるのだが、根本的には、彼には、野球以外にやることが何もないからだ。
彼が、シーズンオフでも、毎日球場に行って練習する姿勢が称賛され、確かに称賛されるに値するが、彼にすれば他にやることがないのだから、「休みたいと思う気持ちが分からない」ということになるのだ。
野球以外にやることが沢山ある選手は、あまり偉大な選手になれない。
むしろ、元ヤンキースのバーニー・ウィリアムズが、プロ級のギターの腕前を持っているのに偉大な選手になったことが驚愕である。恐ろしい野球の才能である。
しかし、もし彼がギターに興味がなければ、もっと偉大な選手になれた可能性が高いと思う。ギターが野球にプラスになった面も、もちろんあるだろうが、それほど大きなものではないはずだ。

プロレスのジャイアント馬場さんは、アメリカで活躍していた全盛期は、イチロー以上のスターだったという話もある。純粋な実績だけではなく、日本のスポーツ選手がアメリカで活動することがほとんどなかったという時代であったことを考慮すれば、それは間違いないと思う。
その場場さんは、63歳で亡くなるまで現役だったが、インタビューで、「プロレス一筋でやれた理由は?」と尋ねられた時の返答を、私はよく覚えている。
アントニオ猪木さんは国会議員になり、他にも、「副業」を持っていたレスラーは多かった。
馬場さんの答は、「有体(ありてい)に言えば、他に出来ることがなかった」だった。
馬場さんは、営業のためにバラエティ番組にもよく出ていたし、CMにも出演したが、ピントがずれていた面白さがあったのは、単に自然にやっていたからだ。つまり、芸人的なことなんて、何も出来ないし、しようとしないのが、結果的に良かったのだ。
また、馬場さんは経営者としても立派で、全日本プロレスの社長として黒字経営をしたが、それは、散々赤字を続けた後のことだ。
馬場さんのことは、長く、いろいろ調べたが、結局のところ、馬場さんは、受けた恩を忘れず、義理を大切にし、常に誠意を持ち、それでいて、言い訳をせず男らしく責任を取る姿勢でい続けたこと、そして、謙虚で控え目な性格が愛され、沢山の人達の協力が得られたから成功したのであり、別に、ビジネスが上手い訳でも何でもなかったのだと思う。

人類史上屈指のピアニストだったグレン・グールドは、ピアノ以外は何も出来ないどころか、あきらかに欠陥人間であったが、だから誰よりも偉大なピアニストになれたのだと思う。
もちろん、多方面で活躍する、いわゆるマルチ人間も確かにいるが、そんな人間は、後で考えると、「結局、この人、何だったの?」ということになる。
つまり、1つの際立った才能を発揮した人が、その知名度を利用していろいろやったのが、たまたまうまくいっただけのことで、普通は、余計なことをやると、1つの才能も潰してしまって駄目になってしまうはずだ。実際、それで落ちぶれた方の例はいくらでもある。

若いうちはいろいろやった方が良いのは、隠れた才能を発見するため、そして、必要な常識を身に付けるためだ。
子供のうちに才能を見出され、1つの道だけに邁進し、大きな成果を上げたとしても、引退したら、ただの人どころか、常識がなく、迷惑なだけの人になり、せっかく作った財産を失ってしまったり、騒ぎを起こして世の中から抹殺されることも多い。
だけど、ある程度の年齢になれば、自分の道を決め、断固とした決意で、その道での成功を目指さねばならない。
ただ、それが凄い仕事や高尚な仕事である必要はない。
日本一の泥棒・・・は、あまりよくないかもしれないが、日本一の乞食なら、それも良い。確かに、富豪の乞食も存在するのである。









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