『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズが大ヒットしたことについて、著者の谷川流さんは、「いとうのういぢさんのイラストとアニメスタッフのおかげ」と謙虚なことを言われていたが、もっと大きな理由がある。
谷川さんご本人が意図してやったのか、たまたまそうなったのかは分からない。
しかし、多分、誰も言っていないことが大きな要因である。
涼宮ハルヒという、高校1年生の少女は、とてもエキセントリック(風変わり)であるが、彼女の、その特殊な性質を作っているものが鍵だったのである。
涼宮ハルヒはサイコパスである。
サイコパスとは、25人に1人はいると言われる「良心を持たない」人間である。
ハルヒは、サイコパスの重要な特徴を見事に備えている。
その1つは、退屈しやすいこと。
サイコパスは退屈しやすいので、常に刺激を必要とする。
刺激が足りないと、文字通り「憂鬱」になるのだ。
「組織」の古泉一樹君が言っていたじゃないか。
「涼宮さんを退屈させてはいけないですね」
そして、サイコパスには、強い支配欲があるが、それもハルヒに適合する。
ハルヒは、何でも自分の思い通りにならなければ気がすまないのであるが、それは単なるわがままではなく、その執着振りは異常であり、誰かが自分に反対することを絶対に許さない。
「あんたたちは、いつも通り、黙ってあたしについてくればいいのよ」
と何度言ったことか。
そして、ハルヒには良心がないことが分かる。
キョンのことは好きだが、キョンに対して、優しさや共感を示したことは全くない。
キョンが大怪我した時、ハルヒは動揺はしたが、それは、谷川さんのストーリー・ミスと言うよりは、ハルヒは、キョンが死ぬことで、「この世で一番面白いもの」を失うことを恐れただけだ。
多感な朝比奈ミクルが、どれほど恥ずかしい思いをしようが、時に危険な目に遭おうが、ハルヒにとってはどうでもよく、ただ、自分が面白ければそれで良いのであることは明らかだ。

理解出来ればの話だが、マーサ・スタウトの『良心をもたない人たち』と、ジュームス・ファロンの『サイコパス・インサイド』を読めば、分かると思う。
ただ、特に、ファロンの本は、専門用語の羅列だし、自分のペースで一方的に書いているので(さすが彼は、自分で認めるサイコパスだ)、読むのに根気がいる。飛ばし読みで構わないが、そうすると肝心なところまで飛ばしてしまう可能性がある。誰か要約書を書くと良い。

涼宮ハルヒは、本当に際立ったキャラクターであるが、ジェームス・ファロンもいくつか挙げている通り、作者はあまり意図していないだろうが、サイコパスを描いた小説や映画というのは、割と多いと思う。
なぜなら、サイコパスというのは、魅力的な人間が多いことも確かなのである。だから厄介なのであるが、この点については、マーサの本に詳しい。









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