ソクラテスは、生涯をかけて優秀な人を訪ね続け、それらの人々の知恵について検証を続けた。
そして、それをやればやるほど確信したことは、人間そのものには、何の知恵もないということだった。
いかなる分野の秀でた者にも言えるが、彼らにその能力を発揮させるのは、ある神秘な何かだ。
その神秘な何かは、言葉では説明できないので、ソクラテスも癖のある表現をしているが、まあ、例えば、聖霊とか神の英知とか、内なる炎とか、そんな曖昧な言い方をするしかない。
今日では、潜在能力とか超感覚とかいった言い方をするが、それは、個人の所有物とは言えない。

優れた小説や、もちろん漫画も、個人の能力ではない、「神秘な力」が作り出したものであるとして漫画作品を1つ取り上げるが、中山文十郎さん原作で、 ぢたま(某)さんが漫画を描いた『まほろまてぃっく』という作品がある。
この作品の中で、宇宙人セイントと地球人が、おそらくは、それぞれの存在を賭けて戦っている。
科学的には、セイントの方が、比較にならないほど優れているが、地球防衛組織ヴェスパーは善戦し続ける。
その中で、セイントの戦闘用アンドロイドであるリューガは人類の研究のため、地球で生活することになる。
リューガの目的は、死亡したが、セイントにとって難敵だった、ヴェスパーの美里総司令の息子、美里優(みさとすぐる)の調査だった。
リューガは、14歳の美里優が通う中学校の教師になる。
しかし、美里優は、ややリューガを失望させる。
あの美里総司令の息子というほどの人間ではなかったからだ。
美里優のIQ(知能指数)は130。優秀ではあるが、天才的というほどではない。
運動能力も一般的な意味では優れているが、超人的というほどでもない。
つまり、マークする必要を認められない凡人である。
ところが、やがて、リューガは美里優の、不思議な力に驚愕することになる。
リューガが、地球の戦闘用アンドロイドである、まほろと決闘した際、まほろを慕う美里優は、破壊される寸前のまほろを守るためにリューガの前に立ち塞がる。
美里優は、戦闘用アンドロイドの力を理解していたに関わらずである。それよりも、リューガには、道具でしかないアンドロイドを、自らの命を顧みずに守ろうとする美里優の行動が全く理解出来ない。
また、リューガは、自分が戦闘用アンドロイドとして未熟だった頃に、まほろと交戦し、僅かな時間で簡単に敗れたが、その時、まほろが自分を破壊しなかったことが不思議だった。まほろもまた、地球人の心を持っていた。
その後、リューガは、さらに地球人の内奥に関して理解していくが、実は、それが、セイントの女神のような存在であるマシューが、リューガを地球の人々の中に送った目的だった。
リューガは、地球人は、「ひどく脆いが、恐ろしく強い」ことを、はっきり理解する。
そして、その目的を果たすためには、戦いという手段も致し方なかったのかもしれない。

ソクラテスとリューガが知り得たことを合わせると、人間は、表面的には分からない、何かとてつもない力を持っているのだということになる。
だが、その力を誰もが発揮出来るのかどうかは分からない。そして、おそらくは、そうではない。
実際に、特別に秀でた能力を発揮する人間は少ない。
その力を発揮する鍵は何かというと、まずは、本気で力の発揮を望むことと、その力を発動させる土台は自分の努力で作らなければならないことだ。
その2つは、生まれつきの才能が大きく影響する。
そもそも、才能がなければ、大きな力を望んだり、激しい努力をすることが出来ない。
だが、そんな才能自体は、磨くことは可能である。もちろん、磨こうとする凡人は滅多にいないが。
おそらく、大いなる力の発揮のためにはIQを高める必要があるが、ほとんどの凡人は、自分がそんなこと(IQを高めること)をする必要を全く感じない。だからしないし、しようとする者を嘲る。
IQを高めることは、才能を自ら作ることであり、本来、神の役割であることを果たすことである。
そして、そんな人間が出てくることが、神の計画なのかもしれないと思うのである。









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