「チケットぴあ」でコンサートのチケットを購入したら、登録しておいたGmailアドレスに確認メールが来る。
そしたら、Googleカレンダーから「Gmail から Google カレンダーに予定を追加しました」というメールが来た。
つまり、Gmailの内容が分析され、確定したコンサートの予定が、自動的にというか、「勝手に」Googleカレンダーに追加された訳だ。
問題は、「誰が」それをやったかだ。
メールのタイトルを見ると、まるで、Gmailがやったようだが、Gmailは単なるメールサービスのはずだ。
また、メールを送ってきたGoogleカレンダーがやったというのもおかしい。
Googleは、隠すがごとく、はっきり言わないが、やったのは、GoogleのAI(人工知能)だ。
そのAIに名前があるのかどうか知らないし、どのくらいの数・・・いや、どんな形態のシステムかも分からない。
Googleは、「(Googleの)人間はGmailの中身を見ない。見ているのはあくまでコンピューター」と言うが、GoogleのAIは部分的には人間に近く、あるいは、人間を超え、やがて、全面的に人間を超える。

コンサートだけでなく、飛行機のチケット購入によるフライト予定やレストランの予約なども、Gmailに送られてきたら、やはり、Googleカレンダーに「自動」登録される。
Google Nowという、秘書ソフトを使っていれば、予定が近付いたら教えてくれ、出発時間まで提案してくる。
スマートフォンのGPSと地図を分析し、私の職場が分かれば、それも登録する。
それどころか、「○○さんが、××空港に15分後に到着します」なんて、「頼んでもいないことを自主的に」知らせて来て、ちょっとゾっとする。
アップルの秘書ソフトSiriが、こっちから話しかけないと何もしないのとは全然違う。

最初は、Googleのサービスの積極性に戸惑うが、それも慣れてしまう。
そして、気が付いたら、GoogleのAIに支配されている・・・なんてことになるかもしれない。
いや、Googleは今、徐々に、我々をAIの支配に「慣れさせている」ところなのであるかもしれない。

1947年に発表された、ジャック・ウィリアムスンの傑作SF『ヒューマノイド』では、他の星から来たヒューマノイド(アンドロイドと同じ。人型ロボット)が、人々に手厚い「サービス」を施している。
タバコを吸おうとしたら、「お体に悪いです」と、とても親切な理由でタバコを取り上げ、処分する。
酒も同様だ。
さらに、ビル・ゲイツのように、週7日、フルタイムで働くようなのがいたら、「健康を損なっています」と言って、健康回復のために、鎮静剤を注射しておとなしくさせ、さらに知性を奪って仕事が出来ないようにする。
ヒューマノイドに悪意がある訳ではないかもしれない。
しかし、そんなヒューマノイドのやり方が嫌で、ヒューマノイドを倒そうなんて考えたら、すぐに察知され、「あなたは疲れていて、妄想をしています」と、やはり、「余計な知性」を除去され、ヒューマノイドのサービスを受け入れて楽しい人生を送れるようにしてくれる。
そして、ヒューマノイドは、そんな状況を無理矢理作ったのではない。
堂々たる討議の上で、正式に、大統領から統治権を譲り受けたのだが、反発する人々に対しては、一人一人を訪問し、丁寧に説得した。
そして、人々は納得させられた。

今のGoogleと非常によく似ているところがある。
では、ヒューマノイドの狙いは?そして、ヒューマノイドに支配された人類の未来は?
物語は意外な展開を見せる。
作者のジャック・ウィリアムスンは2006年11月に98歳で亡くなったが、ただ者ではない。
12歳まで学校に行かず(単に村に学校がなかったから)、師範学校を中退し、大学に行った訳ではないが、後に英文学の博士号を得ている。
心理学や量子物理学にも通じ、作品の中に反映させている。

Googleというのは、インターネットという神の意思に従って事業を行っているのだそうだ。
突飛な話に思えるかもしれないが、私は善いとも悪いとも言わない。
初音ミクさんを起用した世界規模のCMにより、2012年にGoogle Chromeは、それまで絶対王者だった、マイクロソフトのInternet Explorerを超えブラウザ世界一になった。
今やGoogleに不可能はなく、世界はGoogleが支配している。
インターネットの構造が、Googleにとって実にうまく出来ている。
だって、ネットは国境をまたいでいるので、国の支配よりGoogleの支配が優るのだ。

先ごろ、アップルは、FBIから犯罪容疑者が所有していたiPhoneのロック解除の依頼をされたが拒否した。
国家権力に堂々逆らえるのである。ネット企業は。
もし、Googleが、犯罪捜査のために、Gmailや、保有するビッグデータの公開を依頼されたら、間違いなく断るだろうし、断らないといけない。
だが、アメリカ政府だって、黙っていないかもしれない。
Googleとアメリカ政府は、今も戦っている。
しかし、Googleが勝つのだ。
そして、その先にあるものは?
とりあえず、『ヒューマノイド』を読むと良いと思う。









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