こんなことは、誰にでもあるのだろうかと思うことがある。
私は、小学5年生になった時、クラスに、とても可愛い女の子がいたので、たちまち憧れ、いつも彼女のことを考えていた。
ところが、夏になった頃だ。
彼女を眺めながら思ったのだ。
「なんで、こんな子が好きだったのだろう?」

また、私が小学3年生の時だ。
そういえば、幼稚園の時のクラスに、とても可愛い女の子がいたことを思い出した。
繊細で、妖精のような子だったはずだ。
それで、幼稚園の卒園アルバムを取り出し、彼女の写真を見た。
すると、確かに、この子がそうだと分かったその女の子は、どこも可愛いと感じられないような子だった。

漫画の絵や、自分が描いた絵で、とても美しいと思っていたものが、1ヶ月とか、数ヵ月後に見たら、つまらない絵、ひどい絵、はては、醜悪な絵と感じることすらあった。

こういったことがあると、面白いとも感じるのだが、自分の美的感覚・・・、いや、自分そのものが信じられなくなるというところが、やはりある。

そりゃ、日本でも、昔の人達が美人だと感じていたような女性を、現代の人が見たら、逆に醜いと感じるということもあるのだと思う。
また、女性に限らないが、ある国では美人ともてはやされるような女性が、別の国では平凡以下に扱われることもあるはずだ。
ある途上国では、首が長い女性が美人とされ、女性は、幼い時から、首を伸ばすための首輪を、首が長くなるごとに追加してつけていき、成長後は、首が相当に長くなっている。
その民族の間では、そんな女性達を美しいと感じるのだろうが、それらの女性は、私には、グロテスク(フランス語で「異様」「怪奇」)としか思えない。

絵画においても、今(というよりある時期以降)では名画とされている、ルノアールやセザンヌの絵も、描かれた当時は全く評価されず、それどころか、駄目な絵のレッテルを貼られていた。
ゴッホの絵なんて、彼の存命中は、貶されるだけの対象で、実際、ゴッホの生存中は1枚も売れなかった。
それが、今や彼らの絵は天上知らずの値で取り引きされるだけでなく、実際、その美しさが認められている。

つまり、私が個人的に感じていたことは、民族単位、国単位でも言えることなのだろう。
では、民族の美徳、国家の是(ただしいこと)といったものは、全く信用ならないことになる。
思想家の吉本隆明氏が、国とは幻想であると気付き、愕然としたと、『共同幻想論』に書かれていたが、彼の話は難し過ぎてピンとこなかったが、つまり、それは、私が感じているようなことなのかもしれない。
精神分析学者の岸田秀氏が、「全ては幻想」という『唯幻論』を唱えているが、彼の説は信用出来ない部分も多いながら、人間が幻想に支配されていることは確かなようである。

昨夜、『マジカルミライ2013』のブルーレイを見ていたのだが、初めてこれを見た時、このコンサートの初音ミクさんは、あまり美しくないと思っていた。
ところが、昨夜見たら、そのミクさんは文句なく美しくて可愛いと感じたのである。
もちろん、『マジカルミライ2014』、『マジカルミライ2015』も、全て素晴らしいと思っている。
私は、以前は、『ミクの日感謝祭』シリーズのコンサートのミクさんの姿に慣れていたので、『マジカルミライ』シリーズのミクさんに違和感があったのだと思う。
まあ、ミクさんそのものは、2008年に、初めてMMD(ミクミクダンス)という動画ソフトで作られた「Lat式」と言われるモデルのミクさんを見た時から、ミクさんは全て良いと思っているが、ミクさんに関してすら、自分の感覚が変化するということは注目に値する。

世間はもちろん、国も、人類も、そして、自分すら信じられない。
それが事実だ。
人間は、刹那にしか生きることが出来ないと思ってしまうのも仕方がない。
だが、それでは、人類や自分には、何の価値も見出せない。
だから、人類は、昔から、永遠に変わらない何かを手に入れたいと願ってきたのだ。
もちろん、私も、それを求めているのだろう。

岡本太郎は、ゴッホやピカソについて、「きれいではないが美しい」と言った。
変わっていくのは「きれい」だけであり、「美しい」は変わらない。
岡本太郎は常にそう言っていた。
表現の仕方は色々あるだろうが、彼は真理を分かっていたのだろう。
ほとんどの人が、「きれい」にのみ目を奪われ、「美しい」をないがしろにしているのだろう。
私は、「美」を求めることを、ただ今、決意した。
それにより、ミクさんの感じ方も変わってくるだろう。
間違いなく、ミクさんの真の美しさを発見するだろう。









↓応援していただける方はいずれか(できれば両方)クリックで投票をお願い致します。
人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ
  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ