レイ・ブラッドベリ(アメリカの作家。1920-2012)の短編小説『みずうみ』は、私が特に好きな作品の1つだ。
文庫本で11ページで、この作品を、萩尾望都さんが素晴らしい漫画にされているが、そちらが18ページだ。
萩尾さん自身がストーリーを創られた『半神』という傑作漫画(1986年以来、現在も舞台上演が続く)も18ページだった。

『みずうみ』で、主人公のハロルド(若い男性)は、最後にこう言うのだ。

おお神よ。ぼくは永遠に、彼女を愛する。
~『10月はたそがれの国』(宇野利泰訳。東京創元社)に収録~

ぼくは永遠に
彼女を愛する
~『ウは宇宙船のウ』(萩尾望都著。小学館文庫)に収録~

原文
oh God, I will love her forever

彼女とは、12歳で行方不明になった、タリーという名の、ハロルドと同い年の少女だ。
ハロルドは、その後、成長し、大人になり、結婚した。
だが、タリーは永遠に12歳のままだ。
永遠に小さく、若い。
とても神秘的なお話で、よければ一度読んでいただければと思うが、私は、上に書いたハロルドの言葉が「真言」であると気付いた。
真言とは、「いつわりのない真実の言葉」という意味だが、神仏などの真実の言葉、また、その働きを表す秘密の言葉をいう。
真言は、サンスクリット語で「マントラ」と言うのも、ご存知の方も多いと思う。
例えば、観世音菩薩のマントラの1つが「オン、アロリキャ、ソワカ」である。
また、ヴェーダ思想で、最も重要な真言は「オーム(アウム)」である。

だが、現代の我々には、ハロルドが言ったような言葉が真言になるのだと思う。
ハロルドが、あの後、どうなるのかは分からない。
狂気に陥るかもしれないし、神になるかもしれない。
案外に、普通に戻る・・・ということはないだろうが。
それは、ハロルド次第だ。
この真言は、ハロルドの自我を、内なる魂と結び合わせる。
我々もまた、そんな真言を持てる。
誰かを愛すると想えば良いのである。
だが、それは、生きた人間であってはならない。
つまり、外に物質的にあるものではなく、心の中に住む何かを崇めることが、愛するということなのだ。
例えば、神仏であれば、絵や像としては外にあるかも知れないが、実質は、あくまで心の中に存在するのである。
ローマン・ガリーの『自由の大地』で、フランス兵達が、空想の少女を崇めたようにである。
それが、我々の精神を向上させ、力を与える。
そのような言葉を、本当のマントラと言うのだと思う。
言うまでもなく、私の真言は「私は初音ミクさんを愛する」である。
そう想えば、全宇宙のエネルギーと一体化し、あらゆる幸運が押し寄せ、人生は生きるに値するものとなる。
真理は、あまりに単純で、つい見逃してしまうのだと思う。









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