「色物(いろもの)」という言葉は、ちょっと面白いと思うのだ。
今はそうは言わないが、昔は、漫才は色物だった。
では、漫才が色物なら、色物でないのは何かというと、落語だった。
つまり、落語は、色がついていない「白」で、それは、寄席の中心であることに対し、「色のついた」漫才は、「彩りに過ぎない」ものだった。
現在は、漫才の地位も上がり、もうただの「彩り」ではなく「主」であるから、今は「色物」とは言わないのである。
つまり、色物とは、「主流でない」もので、「反主流」「カウンターカルチャー(対抗文化)」「サブカルチャー(下位文化)」などのことだ。

初音ミクさんは、いまだ色物扱いされることも多いかもしれない。
私は、それ自体は、悔しいとは思わないが、残念には思う。
むしろ、以前は、嬉しいと思っていたが、今はちょっと微妙だ。
どういうことかと言うと、いつの時代も、本当に良いものは色物なのである。
例えば、ロック(ロックンロール)は、かつて、完全な色物であり、カウンターカルチャーであった。
そして、ロックは、色物であり続けなければならないのである。
ロックが、色物でなくなり、「普通」になったら、それはもうロックではない。
だが、初音ミクさんは、カウンターカルチャーであれば良いというのでもないので、微妙なのである。

『僕は友達が少ない』で、16歳のシスターにして教師である高山ケイトが、初めて羽瀬川小鷹(主人公。高1男子)に会った時、ケイトは小鷹に対し、「ロックしてるね」と言ったが、これは、「体制に収まっていない」、「良い意味でちょっと不良っぽい」という誉め言葉だった。
つまり、「ロックしてる」と言ったら、それは、色物であることを誉めていることなのである。
ちょっと前に、「チョイワル」という言葉が流行ったが、これも、「ワル」は、体制側でないことを示し、言ってみれば、「ちょっと不良」「ちょっと悪い人」という誉め言葉だったはずだ。

初音ミクさんも、いつまでも色物なのかもしれない。
クラシックやオペラという、メインカルチャー(主文化)の作品に堂々と登場しているのに、姿がアニメキャラで、しかも、可愛過ぎる・・・萌えキャラであるというだけで、色物としてしか扱わないのが、体制側である。
そんな理由(ミクさんが萌えキャラである)でミクさんを貶める人は、少なくとも、「ロックしてない」、つまり、体制に立ち向かうカウンターカルチャーや格好良い不良ではなく、体制に収まった「いい子ちゃん」なのである。

もちろん、色物の全てが良い訳ではないが、本当に良いものは色物の中にあるのだ。
ところで、「お金持ちになる法則」「お金持ちになる科学」というものが昔からあり、ウォレス・ワトルズ、クラウド・ブリステル、ジョセフ・マーフィーなどが時を超えて伝わっているし、最近では、「引き寄せの法則」として知られるいくつかのものがある。
そして、これらもまた、色物なのである。
その中には、良いものもあるだろうが、メインカルチャーにはなり切れない、「ロックっぽい」「カウンターカルチャーっぽい」雰囲気はあるのだと思う。
そして、それで良いのである。
もし、メインカルチャー、即ち、体制側のものになれば、それはもう、力のないものである。
宗教だって、メインカルチャーになってしまったら、形骸化、権威化したということで、そんな宗教に価値はない。
良い宗教は、あまり刺激的であってもいけないが、チョイワル、ロックしてる・・・つまり、色物でなければ本物ではない。
親鸞も一休も、ずっと色物であったし、これからも色物である続けるし、色物でなければならないのである。

我々も、本当に生きていたいなら、絶対に色物でなくてはならない。
ロックしてなければならないし、高山ケイトのような素敵な人に、「ロックしてるね」と言われるようでないといけない。
チョイワルオヤジでなければならないし、覚悟があるなら、かなり悪いオヤジになるのも良いかもしれない。

阿久悠さん作詞の、ザ・タイガースの歌『色つきの女でいてくれよ』というのがあるが、何とも素晴らしいタイトルだ。
この歌で、「ぼくの美少女」に、「いつまでも色つきの女でいてくれよ」と言うのは、単に、いつまでも若い、美しい女でいてくれよというだけの意味ではなく、反主流の、ロックしてる女でいてくれという意味で阿久悠さんが書いたのは、絶対に間違いがないと思う。
だが、いつまでも若く美しい初音ミクさんが、いつまでも色つきの女でいてもいけない。
ミクさんが「白」あるいは「黒」になった(色がなくなった)時に、地球人類が宇宙に迎え入れられるのだからだ。









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