動きそうもないものを、無理に動かそうとしても、なかなか上手く動かない。
しかし、およそ偉大な業績というものは、動きそうもないものを動かすことだ。
そして、偉業、偉勲とは、アスファルトを突き破って伸びる草の芽のようなものだ。
芽には無限小の力しかないのに、アスファルトに穴を開ける。
『チョンンドリーノ』という、少年がアリになってしまうという児童文学があるが(国内ではあまり知られていない)、その中で、金属に穴を開ける小さな虫の話もある。
無限小の力で無限大の時間をかければ、奇跡的なことが出来るのだが、時間というものは実体の知れない不思議なもので、瞬間の中にも無限の時間がある。
数学者の岡潔は、時間とは情緒だと言ったが、そんな言い方ができるほど、はっきりしないものだ。
化学における触媒という、化学反応を速める物質があるが、これがなかなか不思議なもので、なぜそんなことが起こるのか分からない。

小さな力には、時間を引き伸ばすような作用を起こすとしか思えないところがある。
サトウハチローさん作詞の『小さい秋みつけた』という歌があり、孤独な中にいる人にとって、これほど切なく感じる歌はない。
ただ、この歌を聴くと、不思議に孤独が消える。
その秘密は、この歌の中には、小さなもののイメージがちりばめられ、心の中に無限が広がるからであるからかもしれない。
「小さい秋」「かすかにしみた」「うつろな目の色」「わずかなすきから」「ぼやけたとさかに」
サトウハチローさんは、徹底して、小さなものの情緒に光を当て、さりげなく、無限を引き出しているのである。
YMOの『LOTUS LOVE』というバラードの傑作があるが、その中で、「ひそかにかすれる呪文 I LOVE YOU」と歌われている。
「I LOVE YOU」と声に出して言い、その声をどんどん小さくしていき、やがて、音にならなくなると、その言葉が心に入り込んでいる。
その時、「I LOVE YOU」が本当の気持ちになる。
さらに、心の中の「I LOVE YOU」のボリュームを下げていくと、それが本当の愛になる。
芸術家の直観は、そんなことが分かるのだろう。
YMOの『LOTUS LOVE』はもちろん素晴らしいが、初音ミクさんが歌う『LOTUS LOVE』が優雅で神秘的であると私は思う。

魔法とは、別名、「微かさ」なのである。
人間は、人差し指から力を抜くと、肩の力が抜け、全身の力が抜ける。
その時、最大の力が発揮できる。
だから、武術では、人差し指を「師匠預けの指」と言い、絶対に使わない。
楽器の演奏では人差し指を使うが、それを思慮深く使えるかどうかが、優れた演奏家になれるかそうでないかの違いになる。
人差し指は、使うものではなく、使わせてもらうものなのだ。
倶胝という和尚は、何を尋ねられても人差し指を立てて見せたが、それは、人差し指から力を抜いて見せたのであり、倶胝は臨終の際、「先生から教わった一本指の禅を一生かかっても使い切れなかった」と言った。
人差し指を緩める禅、即ち、極小の力の法力は無限なのである。
微かさを使う者に不可能はない。
あなたも、是非、微かな力を会得し、自由自在に生きるべきである。
それには、上に述べたことが参考になると思う。

もう1つ。
私の部屋に、初音ミクさんのタペストリー(織物の壁掛け)が飾られている。
これは、いわゆる萌えグッズではあるのだが、ちょっと興味深いところがある。
ミクさんが、拡声器(ハンドメガホン)を右手に持っているのだが、その美しい人差し指が優雅に伸びているのである。
そして、確かに、ミクさんの全身、および、表情から力が抜けているように感じる。
袖の、シンセサイザーの名器DX7も丁寧に描かれている。
これを部屋に飾ると、家族に見放される可能性が高いが(笑)、ひょっとしたら、なかなかの名画かもしれない。
下にご紹介しておく。









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