「隠された心」である潜在意識の力を使って成功する「引き寄せの法則(牽引の法則)」は確かなものである。
しかし、沢山の賢い人達が、それによる失敗を防ぐための、非常に簡明なアドバイスをしてくれているはずなのだが、なぜかそれがあまり注意されていない。
ざっと挙げると、

天は自らを助ける者を助ける
人事を尽くして天命を待て
幸運の女神に頼り過ぎるな
神を信用しろ。だが、駱駝はつないでおけ。

などで、他にもあると思う。
昨日も書いたが、幸運の女神は寄りかかると身をかわすのである。

イエスは、神様を天の父と呼び、金持ちの父親に喩えることがよくあった。
金持ちの父親が子供に甘いのは、ある程度は仕方がないし、また、それは良いことである。
そんな父親は、学校卒業の時にベンツを買ってくれるかもしれないが、分別のある立派な父親であれば、買ってくれるのは、あくまで、卒業できればの話である。
イエスは、天の父は必ず良いものを下さるのだから心配するなとは言ったが、だから怠慢になれとは言わなかったのだ。
イエスは、ある金持ちの放蕩息子の話をしたことがある。
その息子は、財産を分けてもらって家を出たが、放蕩を尽くして財産をなくし、食べるのにも困り、このままでは死ぬしかないというまでになって、父親のところに帰って来た。
その息子を父親は温かく迎えた。
ただし、その息子は、父親に、自分を息子ではなく、雇人の1人にしてもらおうと思っていたのである。
もし、息子が、「僕は父さんの息子だから大目に見て下さいよ」という態度であれば、父親は、見捨てないまでも、本当に使用人として扱ったことだろう。
『法華経』に、こういったことに関する適切な話がある。
大金持ちの父親が、50年の間、行方が知れなかった息子を見つけるが、息子はずっと貧乏生活をしていたせいで、心がすっかり卑しくなってしまっていた。
それで、父親は、自分が彼の父であると名乗らず、20年もかけて息子の心を立派なものにした後、初めて自分が父であったと明かし、財産を譲り渡したのである。

ジョセフ・マーフィーの潜在意識の法則や、引き寄せの法則でうまくいかない人達を見ると、「うまくいかなくて当たり前」という連中ばかりだ。
甘ったれていて、緊張感がなく、自己中心的で、欲張りで、横柄で、のほほんとして、まさに腐臭が漂ってくるようだ。

アメリカの作家マーク・ハーナッキーが素晴らしい成功法則の本を書き、ベストセラーになったが、読者から、「効果がない」という電話がよくあったそうだ。
ある読者は、お金がなくて生活に困っているが、あなたの本では状況は改善されなかったと言う。
しかし、話を聞くと、その読者は、必要な相手を探して電話1本かけるということもしなかったらしい。
これについてのハーナッキーの説明は覚えていないが、早い話が、「成功法則に頼り過ぎている」のである。
幸運の女神は、よりかかられると身をかわすのである。
駱駝の心配はしなくて良いが、つないでおかなかったら、駱駝がどこかに行ってしまっても文句は言えない。

我々は、神と共同作業をしているのである。
ウォレス・ワトルズは良い喩えでこれを説明していた。
神が助けてくれるといっても、楽器は自分で演奏しなければならないのだ。
神には演奏をしてくれる者が必要なのだ。

作家になることを、潜在意識の法則や引き寄せの法則で叶えようとするのは良いことである。
だが、吉本隆明氏は、誰でも物書きにはなれるが、そのためには、毎日必ず書かなければならないと述べておられた。
村上春樹氏は、作家になる前から、1日に原稿用紙10枚をノルマとして必ず書いていたらしい。
著述家の本田信一氏も、昔、独立して相談業を始めたが、全く客が来なくてやることがないので、1日に原稿用紙1枚をノルマに何か書いていたようだ。
この毎日は、文字通り毎日で、よほどのことがない限り、1年が365日であれば、その365日全て実行しなければならない。
自分に向いたことなら必ずできるはずである。

神(もしくは潜在意識)は、無分別なほど子煩悩な父親でもなければ、あなたの家来でもない。
途方もなく強力で賢く、あなたをこの上なく愛してくれてはいても、あくまでパートナーであることを、よくよく覚えておくことだ。









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