1980年代から1990年代にかけて、仙道(仙人になる修行法)ブームを起こした高藤聡一郎さんという人がいる。
一時的に流行になった本は、時が経てばすっかり忘れられてしまうのが普通だが、高藤さんの当時の本はいまだ出版されていて、古書も高値が付いているものが多く、今も根強い人気があるのだと思われる。
あれほど仙道や気功に関する詳細な本を沢山書いた人はいないので、この分野で他に代わるものもないのだから当然かもしれないが、携帯電話すらなかった時代に書かれた本でありながら、古臭さがないところもまた大したものであると思う。

私の書棚の中に、数年前に買った高藤さんの『驚異の超人気功法』(学研)という本がある。
写真付資料や具体的訓練法満載で実に面白い本であり、そのトレーニング方法も、そう難しくはなく、丁寧なイラスト付きで、その気になれば誰にでもできるようなものと思う。
ただ、面倒であり、よほど熱意のある人でないと、なかなかここに書かれた修行を長く続けられないと思う。
まして、ものぐさな人間であれば、見ただけで嫌になってしまうことだろう。
ところで、この本では、230ページくらいまでは(本文は240ページ位)、その様な、しんどそうな練習法がぎっしりと書かれている。
ところが、最後の最後に、ある韓国の超人僧が登場するのだが、この僧は、なんと、仙道の修行はほとんどしていないのに仙人のパワーを発揮する。
たまたま、この僧がちょっとしたことでスーパーパワーを見せたという人の話を聞き、著者の韓国の友人が調査に飛んでいき、修行法を教えてもらう。
この僧がやっているのは、いわゆるイメージトレーニングの一種で、瞑想中、巨岩を持ち上げたり、大木を引っこ抜く様子を思い描くというもので、それらは(この僧は)実際にできるようになり、今は、山を持ち上げることに挑んでいるという。

以前、この本を読んで、私が覚えているのは、この最後の部分だけであるが、必要なのは、そこだけである。
ただ、そこに至るまでの部分は、参考にしたり、それこそ、イメージを構築するのに役立つものだとは言えるかもしれない。
良い本には、このように、最後の最後とか、最初の数ページに本当に大事なことが書かれていることが大変に多い。
明治・大正の偉人で、今も信奉者が多い岡田虎二郎は、ルソーの『エミール』を読んで衝撃的な気付きを得たのだが、実を言うと、虎二郎が読んだのは、その前書きだけだったのである。
アリストテレスは、現代科学からいえば間違いも指摘できるかもしれないが、これほどの天才が二度と出ることはないだろう。
だが、彼の本は、最初に良いことが書かれているので、アリストテレスの研究者にでもなるのでなければ、難しい翻訳に苦しみながら(翻訳者達はわざと意味不明な文章を書いているとしか思えない)それ以降を読む必要はないと思う。
皆さんだって、小説の類は別と思うが、記憶に残っている本というのは、案外に、最初のところだけ読んだものだということも多いと思うのだ。

ところで、今、Amazonで見たら、『驚異の超人気功法』も、古書しかないが、やはり少々高い。
高藤さんの他の書でも参考になると思う。









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