この世に自分のものなんて1つもない。
手にした1本のペンですら、たまたま身近にあるだけのものだ。
才能、能力なんてのも同じで、単なる預かりものに過ぎない。

私は昨年、あるコンサートを観賞に行ったが、最後に作曲者の音楽家が登場し、長い話をした後、観客に向かってそのまま舞台に立っていたら、当然ながら、会場から大きな拍手が起こった。
作曲家は満足感のある笑顔で立ち続け、拍手はいつまでも続く。
確かに素晴らしい交響曲であったと思う。
私もずっと力強く拍手していた。
しかし、本心では、
「これは違うのではないか?」
と思い、拍手をするのも疲れていたのだ。
作曲者は、さっさと引き上げなければならない。
少しなら良いが、人様にいつまでも拍手させていてはならない。
本当は、話もすべきでなかった。
あの傲慢なニュートンだって言ったのだ。
「私の才能は、神から預かっただけだ」
たまたま預かった才能や能力を、自分のもののように誇り、賞賛させてはいけない。
あの敬愛すべき作曲者は80歳を越えているが、まだ当分死なないだろう。

木枯し紋次郎は、少しでも借りが生じれば、どんなことがあってもそれを返そうとする。
借りを返すためなら、如何なる危険にも躊躇なく飛び込み、全身全霊を注ぎ込む。
返すことの方が借りより圧倒的に大きいのだが、そんなことはどうでも良く、返し終わったら、決して一文も受け取らず、感謝される前に「ごめんなすって」と去っていく。
誰も、どんな素晴らしいことをしても、単にさせられただけで、自分が感謝されたり賞賛されたりは筋違いなのだ。

1967年くらいの白黒アニメの『サイボーグ009』で、ある航空機製造会社が新型ジェット機のテスト飛行をする時、その会社の社長が自分に対し、当然のこととして、
「成功したら全て彼(ジェット機の開発者)の手柄、失敗したら全て私の責任だ」
と言う。
アニメ用に分かり易く表現したという点はあるが、昔は良いアニメがあったものだ。
この心構えがあれば、必ず最後は成功するだろう。









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