働き蟻や働き蜂の2割くらいは働かないという話を見たり聞いたりしたことがあるかもしれない。
しかし、そう述べる者は、何をもって「働いていない」と言うのだろう?
大方、「荷物運びをしていない」から働いていないと言っているだけなのだ。
また、そういったことを言う者たちの中には、「働かない蟻は水害等の緊急時に労働力の増強が必要になるから、そんな時に備えて居るのだ」などと言うが、緊急時に、普段「荷物運びをしない」蟻が災害防止作業などをして働くのを本当に確認したのだろうか?
せいぜいが、普段、荷物運びをしない蟻が、逃げるために忙しく移動するのを、よく動いていると思っただけなのではあるまいか?

世の中の大半の者は、会社や学校のグループ活動で、「バタバタ」忙しそうにしていないと「働いていない」と思うものである。
普通の人間の認識なんて、その程度である。
しかし、今は、そんな愚かな人間が支配的であるので、誰もが、実際以上に忙しそうなフリをする。
「バタバタしてまして」なんていうのは、非効率な仕事をしている者の口癖である。
「忙しいですか?」
「はい、それはもう」
「何に忙しいのですか?」
「・・・・何かと忙しいです」
よくある、笑い話のような滑稽な会話だ。
そして、その「何かと忙しい」ことの実際の内容を追求されたら怒り出すのである。
「そんなこと、いちいち説明できませんよ!」
といった感じだろう。
忙しくないと言っているのではない。
つまらないことで忙しいだけなのだ。

「荷物運び」をしていない蟻は、別の何か重要な仕事をしているのである。
それは、知恵のない人間が見て分かるような仕事ではないだろう。
普通の人間には想像も空想もできないような仕事であるに違いない。
会社の中にも、働かない2割がいるというのも事実である。
もちろん、あまりに小さな、会社ともいえないような職場は別である。
それなりに安定した経営ができる経営者なら、そんな「荷物運びのような仕事をしない」者達は放っておく。
はっきり認識できなくても、そんな者達がいなくなるとまずいことになることを直感的に分かっているからだ。
経営者は直観が働かないといけない。
経営者は並の人間にできる仕事ではないし、理屈でできる仕事でもない。
社長として最低限の力はあっても、あまり優れていない社長は、そんな一見働いていない社員を必要悪と見なしている。
しかし、本物の社長であれば、そういった者たちを「必要で善」と認識しているのだ。
そして、本当に偉い社長は、そんな者たちを特にねぎらい、大切にするのである。
ただし、そんな者を「常務にしてやろう」とか言うと、その者はいなくなるだろう。
「社長になって下さい」と言ったら、何もしなくていいなら引き受けるかもしれないし、社長を受けないとしても、謙虚に尋ねれば、何か良い教えを得られるかもしれない。

普通の意味で働いていない社員は、非常に重要なことをしている。
それがどんな仕事かと聞かれても、答えようがない。
そもそも、そんな質問をする者に分かるようなことではないに違いない。
あくまで喩え話であるが、会社を潰そうとやってきた悪霊が、その会社のある社員を見て、「こいつがいるなら、ちょっかい出すのはやめておこう」と言って、見逃してくれるようなものである。
喩え話とは言っても、案外にそれが近いかもしれない。

本当に何もしない社員であれば、クビになるか、「追い出し部屋」行きである。
しかし、「本当は重要なことをしている一見働いていない」社員は、いい立場でのうのうとしているように見える。
そんな者が、その会社を離れてしまったら、その直後は少し良くなる感じがすることもある。
しかし、しばらくしたら、会社や、あるいは、その者がいた部署やフロア、あるいは、建物単位で破綻するのである。

では、そんな、一見働いていないが、不可思議な働きをする者とは、どんな者なのか?
言うまでもなく、物質的な世界にのみ住み、活動している者ではない。
聖者ではなくても、聖者と共通するようなところはあるに違いない。
知りたければ、自分でなってみることだ。
念仏を1日1万回称えたり、般若心経の呪文を1日千回でも唱えたらそうなるだろう。
それ自体が極めて優れた仕事なので、神仏が給料を払ってくれるのだからだ。
イエスが言った通り、
「働いている者が報酬を得るのは当然」
である。
ただ、その仕事内容が、普通の人の観念を超えているのである。
しかし、「今日は忙しいからできなかった」、「体調が悪かったので休みました」は絶対に通用しない仕事である。
厳しいとは言わないが、楽ではない仕事なのである。









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