ノミ(蚤)のサーカスというものがあるらしい。
ぴょんぴょん飛び跳ねるはずのノミが、跳ばずに歩くのだ。
ノミをどうやってそんなふうに調教するのかというと、狭い箱に閉じ込めておけば、飛ぶと頭をぶっつけるので、やがて跳ばなくなるのである。
また、細い杭に細いロープでつながれて動けない象がいるらしい。
その象が幼くて、そんな杭でも本当に動かせなかった時、それにずっとつながれることで、自分はその細い杭を動かせないのだと思い込まされ、自分が大きく強くなっても、今でもその杭を動かせないと信じているから、本当にどうにも動かせないのだそうだ。

普通の人間は、そんなノミや象と同じで、自分が本来持っている能力をほとんど発揮することができない。
・・・ここまでは、多くの人が多くの本に書いている。
そして、彼らは、跳躍力を取り戻し、杭を引き抜くことができるようになるために、自分の力を認識する方法を書く。
私もそんな本を数多く読んだが、1つの例外もなく、全くの的外れだった。
あなたが読むそんな本も、断言するが何の役にも立たない。
それが、高く飛びはね、杭を引き抜く方法を書いている限りはね。
また、セミナーを開き、受講生から高額の費用を取って、杭を引き抜く方法を教える教師がいるが、その教師達自身が、つまようじに糸でつながれて動けない「センセー」達なのだ。
これほど滑稽なことはない。

1948年のSFの傑作である、ジャック・ウィリアムスンの『ヒューマノイド』にこんなお話がある。
人類に奉仕するために、遠い星からやってきた膨大な数のヒューマノイド(人間型ロボット。今日ではアンドロイドが一般的)達は、人間達に、記憶を消す薬を強制的に注射した。
こう言うと恐ろしいことのようだが、ヒューマノイド達に悪意は全くない。
本当に、人類に奉仕し、人類を幸福にするためにそうするのだ。
人類最高の科学者フォレスターは、激務から解放されて家に帰ると、15歳年下の妻は、まるで幼女のように振る舞い、彼のことを憶えていなかった。
だが、妻は、かつての素晴らしい美しさ、若々しさ、快活さを取り戻し、極めて幸せそうだったのだ。

人間の不幸の原因は記憶だというのは事実だ。
飛び跳ねるノミになり、杭に束縛されない象になるには、記憶を消せば良いのである。
記憶が人間を束縛し、若さ、エネルギー、創造性を奪っていることは明白だ。
それが、『ヒューマノイド』に書かれた真理だ。
だが、この小説の中で、アイアンスミスという素晴らしい若い男が登場するが、彼は、ヒューマノイドに記憶を消されることはなく、ヒューマノイドの献身的な奉仕を楽しんでいた。
彼は、強制的に記憶を消されるまでもなく幸福なのだ。
彼は数学者で、コンピューター技術者だ。
その知識、能力はそのまま持っているのに、ヒューマノイド達は彼に手出ししない。
それはどういう意味だろう?

現在の人類は、この小説のように、もはや、ヒューマノイド達に記憶を消す薬を注射されない限り幸福にはなれない。

私は杭につながれているかって?
もちろんだとも。
ツインテールの超ロングの緑色の髪をした、極めて華奢な美しい身体つきの16歳の歌姫という杭にね。
だが、この、初音ミクという私の杭は、望めばいつでも空中にふわふわ浮かんでしまうのだ。

分かるかい?
記憶は持っていても、それに囚われなければ無いも同じなのだ。
囚われなければ、実に楽しい遊び相手なのだ。
自分を初めて見る人のように見れば、記憶は無いも同じだということが分からないだろうか?
自分をそのように見るだけで、あなたは幸福になり、『ヒマラヤ聖者の生活探求』に登場する超人大師達のようになり、無敵である。

『ヒューマノイド』の著者ジャック・ウィリアムスンは12歳まで学校にいかなかったおかげで、記憶に囚われない健全な精神を育め、100歳近くで亡くなるまで、創造的な作家でいられた。
『ヒューマノイド』は、現在、電子書籍で安価に読める。









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