子供、あるいは、幼い若者の「困った行為」の流行が引きも切らない(絶え間なく起こる)。
暴力、迷惑行為、いじめ、援助交際、そして、最近では、ネットの悪乗り投稿である。
それらに対し、毒にも薬にもならないことを述べる者達がいるのだが、問題の本質はただ1つで、そういった若者のやることは全て「大人の真似」であるということだ。子供や幼稚な若者のオリジナルなど1つもない。全部、彼らが目にする「普通の大人」の真似なのである。
彼らは、幼い分、限度を知らないところがあるが、実質、普通の大人のやることと何ら変わらない。

ネットでの悪乗り投稿にしても、本質では、普通のテレビCMやネット広告と何の違いもない。
その性質は、うけさえすればいい、つまり、注目を集めさえすれば何をやってもいいということである。
ただ、企業の場合は、違法であることを小賢しく避けるだけのことだ。
ネットの悪乗り投稿が求めるのは、注目を集める実力を何も持たない者が、実力のある者と似たような注目を集めたいことである。
まあ、何の実力もない者として、気持ちは分からないでもない。
ただ、私は、過ぎたものを求めると持っているものも無くすということを知っているだけだ。

例えば、英会話学校を例にすると、英会話学校としての注目に値する実力が何もないに関わらず、「ウケを取って」CM効果を上げなければならないのである。しかし、違法なことはしてはならないという狡(ずる)さは持っている。
すると、どんなことをするだろうか?
昔、経営破綻した大手英会話スクールのテレビCMで、こんなものがあった。英語を話す西洋人が、多少、冗談めかしていたとはいえ、生死に関わる状況にあるところに、日本人の若い女性がやって来るが、「私、英語できないから」と言って、見殺しにして去る。
いかなる意味の冗談にせよ、こんなCMを作ることは、私には信じ難いことだが、別段、問題にされることはなかったと思う。つまり、これが、世間の普通の大人のやることなのだ。
だから、深刻なネットの悪乗り投稿を見たら、我々大人は、「私はこれと同じどんなことをしているのだろうか?」と問わなければならない。
「誰が」ではなく、「私が」である。
馬鹿なことをやった若者に対しても、その損害は、彼らが1日中バイトをして1年や2年で払い切れる額ではないのだが、きっちりと、それに相当する償いをさせなければならない。まあ、数年、タダ働きさせることだ。それで少しは幼さを脱却できるだろう。
だが、大人の責任はもっと大きい。
いじめをやっている子供にしろ、援助交際をしている女子学生にしろ、自分が悪いことをしているという認識はまるでない。なぜなら、大人が普通にやっていることを真似しているだけなのだからだ。そもそも、子供のいじめは、教師の真似であることが大半であるし、援助交際も、きっかけは、教師など高慢な大人の側からの働きかけであるはずだ。
だからといって、大人が道徳的になれとか、モラルを持てといったところで意味もないことだ。
我々は、愚かな行いをやめることはできない。それが現実だ。
子供や若者が馬鹿なことをやるのを見て、「ああ、これは俺の真似だなあ」と認識しなければならない。
それが認識できれば、「俺は所詮、煩悩具足の凡夫。やめることはできない。ああ、どうしよう?」と思うようになる。
少しでも知的であれば、自分に良いことなどできないことは分かるはずである。
それが、ようやく、自分の恥ずかしさが分かった段階である。
すると、せめて身を隠して、慎むことができるだろう。
口を開くたび、何かを行うたびに、自分は恥ずかしいことを言い、恥ずかしいことをするのだということが分かってきたのだ。
しかし、それでも、愚かなこと、浅ましいこと、恥ずかしいことをやってしまうのだ。

鴨長明の『方丈記』を読むことだ。
彼は、54歳にもなって、自分がこれまでやってきた世俗の活動に嫌気がさしてきた。ほんの少しは、自分の恥ずかしさが分かってきたのだろう。
そこで、山の中に小屋を作り、清らかな生活をして、聖人ぶって暮らした。
しかし、何年かそんなことをした後、ある朝、不意に気付く。
自分は、何にも変わっていない。相変わらず、煩悩に穢れた、浅ましく愚かな醜い人間だ。以前から1ミリも成長していない。
すると、絶望する彼の口から、突然、「南無阿弥陀仏」の念仏が出てきたのである。
しかし、書かれているのはそこまでだ。彼が何を知ったのかは分からない。
だが、法然の『選択本願念仏集』や、親鸞の弟子であった唯円の『歎異抄』を読めば、少しは分かると思う。
人間は自分の力では何もできない。自分より高い存在に頼ることによってのみ救われるのである。
そして、私が知る限り、恥ずかしくない言葉、恥ずかしくない行いは念仏だけである。だが、1日中恥ずかしいことをする世間の人は、念仏の方を恥ずかしいと思うのである。









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