誰だって、自分の子供には美しい名前をつけようとするだろうし、実際、人の名前は美しい言葉である。
だが、特に現代がそうなのだが、親が、自分の好きな歌手や俳優、あるいは、その時にヒーロー扱いされてるスポーツ選手の名前を付けることが多くある。親にとっては、その時は美しい名前だったのだが、子供が大きくなれば、「なんでこんな、おかしな名前付けたの?」と疑問を感じることもある。親は、個人的な趣味で子供の名前なんてつけるもんじゃあない。
国の名前なんて、必ずしもその国民が付けた名前じゃないし、いろいろあって、必ずしも美しい名前が付けられるとは限らない。
ベドルジハ・スメタナの『わが祖国』という交響詩は傑作であるが、その中の第2楽章ヴァルタヴァ(日本では英語のモルダウの名で知られている)の旋律の美しさは圧巻であり、是非、じっくり聴けるよう、良いCDを持っておくことをお奨めする。下に、カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏のものをご紹介しておく(これは『新世界より』のアルバムだが、モルダウだけ特別に収録してある)。
スメタナの祖国ボヘミアは今のチェコ共和国だが、ボヘミアを示すチェコ語のチェヒは「光の土地」という美しい言葉だった。
日本は元々は豊葦原の瑞穂の国(とよあしはらのみずほのくに)と呼ばれていたが、古事記うや日本書紀より古い『ホツマツタヱ』には、芦原は「悪し腹」で、国民の性質が悪かったのだが、その悪しき性質を引き抜いて、豊かに水田の実る水穂の国となったと書かれている。
そう思えば、豊葦原の瑞穂の国とは、歴史を感じさせる良い名と思える。
日本も、「ひのもと」なら良かったが、うやむやに決まってしまったような呼び名である「ニホン」ましてや「ニッポン」ではあまり美しくないように思える。
日本が英語でなぜジャパンなのかというと、ジャワ島を英語でジャバという通り、英語は音を濁らせるのが好きなようだが、全く美しくないと感じられるかもしれない。

このように、大切な子供の名前や国家の名前すら、必ずしも美しいとは限らない。
しかし、確実に美しいものがある。それが神の名である。
どこの国でも、神の名だけは、自分達にとって最高に美しい名を付けたのだ。
古くから、どの国にも、真言や呪文という、力や幸福をもたらす唱え言葉があるが、神の名は最高の真言であると聖者、賢者達は言う。
そして、神の名は最も力ある言葉でもある。それは霊的な意味でも、ユングの言う集合意識から考えてももそうなるのではないかと思う。
ギリシャ神話でもインド神話でも、エジプト神話でも、神の名は徹底的に美しい。
あのラマナ・マハルシが崇拝した14世紀のマハーラーシュトラ州の聖者ナームデーヴ(ナーマデーヴァー)は「名前を超えたマントラ(真言)はない」と言い、「名前はケシャヴァ(神)そのものである」と言った。
神の名は神そのものであるのだ。こんな大切なことは必ず覚えているべきである。
聖書にも、「はじめに言葉あり、言葉は神であった」と書かれているが、これは、そのこと(神の名は神そのものであること)を端的に言い表している。
神の名を唱える以上の霊的修行はなく、神の名以上に実際の効力を示すものもない。
『古事記』は、はじめのところで、沢山の神の名が現れ、初めて読む者を戸惑わせる。しかし、直感に優れた者なら、まず、その美しさに惹き込まれるのである。いつか、これらの神の名を美しいと感じるようになってきたら、あなたは、日本人が本来持つ霊的感覚を備えつつあるのだ。
どの神、あるいは、仏の名でも良いから、自分と縁のある神の名を選び、その名を心の中で常に唱えれば、あなたが不幸になることは全く考えられない。
ギリシャ神話の神でも、インドの神でも、本当に心惹かれるなら、それがあなたの神である。そして、別に、選び間違いということはない。
『バガヴァッド・ギーター』で至高神クリシュナが言うように、どの神に祈っても、それは、至高神に祈るのと同じことだからだ。
神の名を唱えるのに、宗教に入る必要もなければ、何かの教義を信じる必要もない。
ただ、美しい神の名を唱えるだけで良い。法然の場合は、それが阿弥陀如来の名であったのであり、それを衆生が唱え易いように「南無阿弥陀仏」という念仏にしたのだ。これは、元々の経典(『観無量寿経』『無量寿経』『阿弥陀経』の浄土3部経)には、ただ、仏の名であるアミターバ(阿弥陀)を呼べと書かれている。しかし、もちろん、念仏の形にするのは良いことであった。
そして、真の神の名は、吾(ア)であり、これは、現代では「私」のことである。だが、「私」という言葉は良くなく、形式的なことだけに使うが良い。ただ、その意味では良い言い方なのであり、嫌う必要もない。
真に優れた名は「ア」で始まることが多い。サンスクリット語でアハンで、英語ではアイであり、それによって古代インドでは英知の花を咲かせ、近代ではアメリカが不思議な統合と発展を示したのだ。無論、「ア」以外で始まる優れた名もあるが、それは別の機会に話そうと思う。









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