一見、子供向けのおとぎ話のようだが、大人が読んでも良いし、実際に、子供にも大人にも読まれているというお話がある。
ギリシャ神話や旧約聖書、古事記もそうであるし、法華経や観無量寿経といった仏教の経典も、中身は実はそんなものである。
『バガヴァッド・ギーター』という聖典も、『マハーバーラタ』という詩で書かれた物語の一部である。
ただ、これらは、あまりに長い時が経ってしまったため、解り難かったり、仏典のように、学者のような人達が難しい理屈を述べて一般の人の手の届かないものにしてしまったようなものもある。

それで、これらの古いお話を、子供でも読める現代的なものに書き改めたものがあり、中には大変に素晴らしいものがあるが、書き手の自我が含まれてしまい、曇りを持ってしまったものもあるだろうと思う。
しかし、我が国の『古事記』に関しては、明治から昭和の児童文学者の鈴木三重吉が、子供でも読めながら、格調高く美しい文章で『古事記物語』を書き、現代に至るもロングセラーを続けているし、また、福永武彦さんも、やはり子供でも読み易く素晴らしい『古事記物語』を書かれている。このどちらが良いかと聞かれたら本当に困るのである。鈴木三重吉さんの文章の美しさは絶品であるが、福永武彦さんの躍動感溢れるリズムは、彼が天才的な作家なのであろうと思う。

現代の作品にも、そのように、子供でも大人でも読めるが、言葉で言えない美しいものを秘めた作品がある。
本当はもっと沢山あるのかもしれないが、アンデルセンの『絵のない絵本』と、サン・テグジュペリの『星の王子様』が代表的なものではないかと思う。
もちろん、他にも沢山あるのだろうし、そんなものの中には、さほど有名でないというものもあるだろう。
そして、我が国の『銀河鉄道の夜』は最高傑作の1つと言って良いのだと思う。
これらは、現代の聖典であり、神に選ばれた作家が天啓を得て書いたものだろうと思う。
外国のものにも勿論、読むべき価値があるが、それが自国のものであればさらに良い点が多いだろうと思う。

これらの作品には、多くの絵が描かれている。
特に、アンデルセンの『絵のない絵本』は、世界中の画家が題材にし、多くの素晴らしい絵が描かれてきた。
また、『絵のない絵本』は、素晴らしい音楽になっている。
チェコの作曲家ノヴァーク(Novak)による『永遠の憧れ』(Eternal Longing)は、『絵のない絵本』の第28夜の、渡りをする群から遅れて孤独に目的の地を目指す白鳥の姿を交響詩で描いたものらしい。
これらからも、アンデルセンの作品の素晴らしさがうかがえるように思うのである。
だが、『銀河鉄道の夜』も本当に素晴らしいものだ。
そして、この『銀河鉄道の夜』に、冨田勲さんが素晴らしい交響曲を制作し、2つの大学の男性合唱団と女性合唱団、それに、少年少女合唱団。そして、初音ミクがソリスト(フランス語。独唱者)として歌う、優雅で荘厳な交響詩は、これ以上はないという出来であると思う。
これは、非常に稀なことであり、我々日本人は幸運であると思う。
この『銀河鉄道の夜』の交響詩は、『イーハトーヴ交響曲』の第5楽章だが、他の楽曲も素晴らしいので、良ければお聴きになっていただきたく思う。









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