誰しも、自分の仕事は、他人に理解されないものだと思っているし、そのせいで辛さや理不尽さを感じることがある。
私のようなシステムエンジニアもそうで、「お客さんも、自分の会社の管理者すら、この仕事の難しさを分かっていない」と、不満の多い職業である。
しかし、美容院や床屋に行った時のことをよく考えれば、どんな仕事でも同じだなあと分かるはずだし、賢い人なら、自分はまだ恵まれていると思うに違いない。

『僕は友達が少ない』という小説で、夏休み明けに、これまで超ロングヘアだった三日月夜空(高2女子)が、髪をばっさり切ってくる話がある。
クラスメイトの羽瀬川小鷹(主人公)と話しながら、夜空が動揺しながら言う。
「び、美容院に行ったのだ」
それを聞き、小鷹も驚愕しながら、
「び、 美容院!?」
と声が裏返る。
そして小鷹が、
「き、緊張するよな・・・」
としみじみ言うと、夜空も、
「緊張した・・・」
と声を落として、全く同意であったことを示した。
いまどきの高校生・・・しかも、夜空は(ライトノベルのヒロインのお約束だが)大変な美少女である(性格はアレであるが・・・)。たかが美容院で何を緊張しないといけないのかと思われるかもしれないが、実は、夜空は初めて美容院に行ったのだった。
夜空は、見知らぬ人と話をするのが極端に苦手なのだ。
それは小鷹も同じで、小鷹は、一度だけ美容院に行った経験があり、夜空の気持ちがよく分かるのだった。

さて、美容師にすれば、夜空を見た時、これほどの人目を引く美少女が美容院初体験とは思えず、慣れた客を相手にした時のような会話をするかもしれない。
まあ、ヘアドゥー(髪型)やコワフュール(同フランス語)なんて言葉を使う美容師もいないだろうが(いるのだが)、普通にフリンジだのルーツカット(ハズシ)だのと言われたら頭の中がパニくるだろう。夜空はシャギーにはしてもらったが、それを初めから知っていたかは疑問だし、シュシュと言われても分からないかもしれない。
床屋で「鬢(ビン。もみ上げのこと)をどうします?」と言われて、意味が分からなくて慌てるおじさんも多いらしいが、それどころではない。
だが、初めて美容院に行く客や、滅多に行かないという人もいるのであり、そんな人は、美容師に抵抗を感じるものだろう。

私のようなシステムエンジニアというのは、お客さんは、ほとんどが、初めて美容院に来る客のようなものである。
ユーザー企業の担当者にとって、システム構築を担当するなんて滅多にあることではないだろうし、一生に一度ということも珍しくはない。
だから当然、私は、お客さんが、こちらの事情が分からないのが当たり前と思っている。
そして、ほとんどの仕事がそうなのである。
私が海外旅行に慣れていない時、空港職員に何か聞かれてさっぱり分からず困っていると、彼は面倒臭そうに、「ああ、こうしておきますね」と勝手に何かを決めたが、私には意味が分からなかった。こんな職員ほど、自分の仕事は理解されていないと不満を持っているのかもしれない。
私は、システムエンジニアの仕事なんて、他の仕事に比べると、まだ、お客さんにも、会社のマネージャーにも理解されやすく、面倒を見てもらいやすい仕事だと思っている。
建築家、教師、警察官、土木作業員、政治家、セールスマン、医師、殺し屋・・・どんな職業であれ、自分の仕事が特別に理解されない、不当に扱われているなどと言えるだろうか?
尚、下に、国産コンピュータOS“TRON”の開発者として名高く、初音ミクにも詳しい坂村健教授(東大)の分かり易いコンピュータ入門書をご紹介しておく。多少、コンピュータ用語をマスターしておけば、システムエンジニアなんて恐くない。









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