クラシックコンサートで使われる楽器は、何百年もの間、全くと言って良いほど変わっていないが、それで何も問題はないのだろう。
一方、ポピュラー音楽においては、多少は新しい楽器が登場している。しかし、エレキギター、キーボード・インストルメント(一般にキーボード)、シンセサイザー等は、登場してから半世紀近く経つ。その間、他に目覚しく普及した楽器はほとんどないだろう。
初音ミクらのボーカロイドは、ようやく現れた、広く普及しつつある楽器と言えるかもしれない。

このように、楽器というものは、定着し主流になるのに時間がかかるものだ。
ところが、ITの世界というのは、ある時点で圧倒的な主流であっても、あっという間に消えてしまうというのが当たり前なのである。それは、一般的には、あまり分からないかもしれないが、私のようなIT業界に長くいるものには、強く実感されることである。

ITで、ある製品や技術、サービスが世界的に普及すれば、それを保有する会社は、大きな利益を得、巨大な本社ビルを建て、その技術に関する資格試験を世界中で実施し、「我々が世界標準だ」といった、天下を取ったかのような態度を取る。しかし、少し業績が停滞すると、その後は急速に衰退していき、しばらく経つと、もう誰もその製品やサービスを覚えていないのである。
そんなものは無数にあり、今現在も、そんなことが起こっているのである。
デジタル・リサーチのCP/M、ロータス1-2-3、ノベル・ネットウェア、IBMのOS/2、アシュトンテイトのdBase、MSEのdbMAGICなどは、一頃は、世界で圧倒的なシェアを持っていた。しかし、現在も存在するものもあるのだが、現実的には、専門家でもほとんど誰も知らないまでになってしまった。

マイクロソフトやアップルは、企業としては、ヒット商品を出し続けているが、やはり失敗して消滅した製品やサービスはある。ただ、これらの企業の賢いところは、ライバルに勝てないと思ったら、さっさと手を引くことだろう。だが、この2つにしろ、企業としても、消える時はあっさり消えるに違いない。

そして、スマートフォンというものは、現在、まさに世界的に大ヒットの様相であるが、これがいつまでも続くだろうか?
今現在においては、スマートフォンは、そう悪いものではないかもしれない。
しかし、人類が馬鹿でない限り、これがいつまでも続くとはとても思えないのだ。
IT世界を知る者としては、スマートフォンは、5年以内に無くなる製品である。ただ、海外のことは知らないが、この10~20年で、日本人はすっかり馬鹿になったし、おそらく、他の先進国や新先進国もほとんど同じだろうから、ひょっとすると、このまま続くのかもしれない。

私がスマートフォンで気付く、最大の欠点は、盲目の人が使えないことである。
そのようなものが、いつまでも生命を保った例は人類史上にない。いかに人類が愚かでも、これまでは、転落し切る一歩手前で、英知の輝きが人類を導いてきたのだ。
核兵器は理想的ではないながらも減少し、かつてに比べれば、あまりに非道な行為がまかり通るような国は減っていき、独裁国家もいつかは民主化に向かう。
だから、盲人が全く顧みられないまでになるようなことは、これまではなかったのである。
視覚障害者の援助で、日本は遅れていたが、アメリカでは早くから、点字が発明され、国家的に、視覚障害者の教育や社会参加が推進されていた。ヘレン・ケラーが才能を発揮できた大きな要因も、そこにある。
ヘレンは、自らは見えない、聴こえないながら、「五感は幻想。純粋な観念のみが真実」と見抜き、それは人類に貴い知恵を授けたのである。
身体的、知的にハンディを負った人がいなければ、知ることが難しかった優れた知恵は数知れない。
スマートフォンだらけになるということは、300年以上に渡る点字の歴史を否定することである。あまり知られていないが、多くの商品には、点字が付けられており、目の不自由な人への配慮を行っているのである。
私は、目は良い方であるが、仕事上(システムエンジニア)、非常に疲れたり、ストレスを抱えた時には、視覚能力が極端に低下し、小さなタブレットが扱い難いことがある。もう少し悪くなっていれば、緊急時に電話も出来なかったかもしれない。
PCのキーボードや、従来型携帯電話では、センター位置に指で触って分かる印が付けてあり、ブラインドタッチの役に立っている。
それが全く不可能なタブレット端末だらけになることは、未来に渡って成長・発展するような惑星では起こらないことだ。

だが、既に、人類は救いようが無いほど、知恵と品格を失っているのかもしれない。
スマートフォンが広まり続けるか、人類が滅ぶか、2つに1つかもしれないというのは、別に極端論とも思えない。









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