日本人は、自己主張が出来ず、表現力も無いと、特にアメリカあたりの西洋人に言われているという話をご存知に違いない。
顔の表情が乏しく、能面のようで不気味だとか、ジェスチャーが苦手で、西洋人のような粋なポーズを取ってもサマにならない。
愛情表現に関しては、西洋人のように、堂々と「アイラブユー」と言うことは決して無いし、人前で堂々と抱き合ったりキスしたりもしない。
また、対話能力がなく、当然、討論も下手で、日本の一流大学の学生が、アメリカ人大学生と日本語でディベートしても全く相手にならない。
・・・・だいたい、こんな感じだろうか?

これらは、あまり知的でなかったり、快楽主義の西洋人の主張と思われる。
そんな自己主張の強い連中や、ゴシップ(興味本位の噂)・スキャンダル系の無責任なマスコミの騒音的な記事を、西洋人の代表的な認識と誤解したか、恣意的(自分勝手)に日本に流した者達がいたのだろう。
洋の東西を問わず、やたら自己主張の激しい者は、馬鹿と相場が決まっており、馬鹿な認識を馬鹿な連中が広めたというだけの話だ。
また、馬鹿な連中が、そんな話を真に受け、実はアメリカでも気味悪がられるほど、人前でベタベタするカップルが増えたり、表現力をつけるために学校にダンスを導入しようなどという、自己主張の強い連中の意見が通ってしまったりしたのである。

知性に欠ける快楽主義者の言う、日本人の表情の乏しさ、ジェスチャーの無さは、知的な西洋人には、日本人の冷静さ、揺るぎない胆力、慎ましさとして賞賛されているのである。
理屈を振り回し、言葉面(ことばづら)で相手を丸め込む討論術であるディベートはアメリカでは競技として存在するが、それは別に、哲学的な思想を発達させるためにあるのではない。
日本人は、表面的な合理主義よりも、深遠な真理を、一般の人すら求めることに、特に知的な西洋人達は驚嘆し、日本の本当の文化に触れた西洋人は、日本を愛して止まなくなることも多いのである。
美に関しても、西洋では、女性のエロチックさや、男性の筋肉質な肉体の美しさに注目する傾向が強いが、日本人は、本来は、「わび」「さび」「風流」といった、西洋人には、すぐには理解できないような美の本質を、直感的に認識していた。
虫の声を「嗚呼、おもしろい」と感じる日本人の感覚は西洋人には謎で、彼らには虫が鳴く音は騒音にしか聞こえない。
明治、大正の時代に日本に来た西洋人は、貧しい層の日本人が花を買う習慣があることにも驚いた。西洋では、花を買うのは金持ちだけだった。
そういった、日本人の美的感覚は、やはり、西洋の快楽主義者達には馬鹿にされるものであるが、優れた人たちには、日本への憧憬を持たせたのだった。

アインシュタインは、日本で講演した時、聴衆が静かにじっと動かずに彼の話を聞く様子に感動したことを印象的に語っている。
しかし、普通、西洋人が初めて日本人を相手に講演する時は、戸惑うのである。反応は無く、静かで、それどころか、うつむいて目を閉じているので、聴衆が眠ってしまったと思うのだ。しかし、よく見れば姿勢正しく、彼らがいったん目を開けると、視線ははっきりしている。
それで、だんだんと、西洋人講演者達は、日本人の美しく驚嘆すべき精神性を悟るのである。
アインシュタインは、彼自身、慎ましく、直感的に本質を感じるという、日本的な美徳や感覚があったのだと思う。

言うまでもなく、何でもかでも日本人が優れていると言うのではない。
それはどこの国でも同じである。
しかし、無責任な連中のせいで、西洋の馬鹿な連中の日本人観が強調されたり、それをまた真に受けた馬鹿な日本人が、不要に日本人の特質を卑下することが多かったということも理解すべきである。
日本の学校は、ダンス以前に、もっと取り組むべき大切なことが沢山ある。
また、日本文化の再考という者にしたって、どこか歪んだ主張をする者も多いのである。

こういった問題は、実に広い範囲に及ぶので、このあたりにしておくが、最後に、ちょっと変わったことを述べておく。
日本の企業で、英語を公用語にしようといったところが現れている。
ある本物の国際ビジネスマンは、こう言う。
「そんな企業でも、本当に重要なことは、裏で日本語で決めているのだよ」
よって、むしろ、企業の仕組みを複雑し、問題を増やすだけなのだろう。
「英語を公用語に・・・」といった変な話を真に受ける経営者というのは、国際感覚が無いのである。
情報や理屈ではなく、日本人らしい冷静さ、本質を見る直観を大切にしたいものである。









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