ビジネスで大成功した者が、「こうすれば成功するのです」といった感じで、成功法則、成功哲学を本に書いたりしている。
何といっても成功の体現者であるし、これらの多くの本は「法則に則りさえすれば誰でも成功するのです」「努力なんて不要です」といったことが面白く書かれているので、非常によく売れる場合があり、何十万部というベストセラーもあるほどだ。

それらの本が役に立つかというと、絶対に役に立たない。実際、そんなものを読んで成功した人はいない。
一番問題な点は、書いている成功者は善意で書いていて、自分が嘘をついていることが分からないことだ。これほど始末の悪いことはない。
成功者が成功したのは、単に、それが運命だったというだけのことなのだ。
彼は、生まれる前からの成功者だった。それ以外、他の人との違いは全くない。成功に、原因も秘訣も何もない。成功する運命であれば成功は避けられないし、成功する運命でなければ、いかなる努力をしても決して成功しない。
そして、成功するかしないかなど、何の意味もない。
むしろ、成功して自我が強くなると、真の幸福である至福を逃す可能性が高くなるのであるから、成功というものは無い方が幸せなのである。
成功を選ぶことは出来ないが、至福への道なら選ぶことは出来るのだ。

ナポレオン・ヒルという人は、数多くの成功者にインタビューして、成功の要因を抽出し、成功プログラムを作った。
しかし、それを使って成功した人はない。当たり前のことだ。
成功者をいかに調べても何の意味もない。
ナポレオン・ヒルが調べるまでもなく、成功者の成功要因はただ1つだ。それは、彼は成功する運命だったということだ。他には何もない。
なるほど、成功者の多くは多大な努力をしているし、直感が冴えている。
しかし、それは、彼が多大な努力をし、素晴らしい直観を得る運命が与えられていたというだけのことである。

ラマナ・マハルシは言った。
「運命によらずして何も起こらない。働く運命に無ければ、いくら仕事を探しても、仕事は見つからないであろう。逆に、働く運命であれば、いかに嫌でも働くことは避けられない」
これが真実である。
成功して金持ちになる運命に定められていれば、いくら嫌でも、そうなることは避けられない。逆に、いかに成功を望み、金持ちになることを願っても、そうなる運命でなければ、何をしても成功し金持ちになることは絶対にない。

だが、ほぼ全ての金持ちは惨めで不幸だ。
富だって、いつまでも続く訳ではない。大半の金持ちが、短期間に富を失い、やがては借金まみれになっている。僅かな富豪は生涯富を保有するが、実は幸福でない。世界屈指の富豪ハワード・ヒューズも、何も食べられずベッドに寝たきりで、家族は離れ、友人もなく、執事だけに看取られて惨めに死んだ。
驚くべき成功を収め、「思い通りになるのが人生だ」と豪語して成功哲学を説き続けた牧師も、全く思い通りにならず、年をとって莫大な負債を抱え、家族に見捨てられて余生を送っていると聞くが、不思議なことではない。
一方、ふんどし1本以外、何も所有しなかったラマナ・マハルシは生涯を至福のうちに過ごした。
別に、貧しくなければならないと言うのではない。
金持ちになる運命であれば、金持ちになるしかない。
誰も、自分の意志で、金持ちになったり貧乏になったりは出来ない。
そんなことは神の決めることであり、我々には何のコントロールも出来ない。
金持ちか貧乏かは、何の関係もない。
確かに極端な貧乏の場合もそうかもしれないが、不要な富を持ってしまうと、幸福を逃し易いのである。
イエスが「5体満足で地獄に行くより、身体の一部を失って天国に行く方が良い」と言ったのは、「豊かで地獄の苦しみを味わうより、多少足りなくても、至福であることがどれだけ良いだろうか」という意味である。

我々は完全に無力であり、世界や人生に何の影響を与えることもできない。全ての出来事は、我々の意思と何の関係もなく起こる。
それを完全に無条件に受け入れ、荘子が言ったように、全てをなりゆきに任せることだ。
こう言うと、愚かな者は、「それなら、みんな投げやりになって、何もしなくなる」という誤解をする。
そんな馬鹿なことはない。
超人的な努力をする運命にあれば、そうするだろう。
怠惰を好む運命であれば、サミュエル・ベケットのように、ノーベル賞授賞式にも「面倒だから」という理由で、行かないだろう。
至福への第一段階は、運命を無条件に受け入れることだ。
そうすれば、自我は弱まり、欲望が少なくなって行き、妄想(空想と等しい)をしなくなる。それが至福への基本的条件となるのだ。









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