「無になりきれば不可能はない(自由自在だ)」
というのが人間だ。
一切の想念が消えた時に発揮される力は無限であり、計り知れない。

『知恵の7柱』の著者というより、映画『アラビアのロレンス』のヒーローとして知られるT.E.ロレンスは、もちろん、映画の通りの人ではなかったかもしれないが、彼らしさを示すエピソードが映画にある。
それは、マッチの火を指で掴んで消すという芸当で、それを見た者が真似してやってみると、本当に熱くて飛び上がった。
そのやけどをした男がロレンスに「コツは?」と尋ねると、ロレンスは「熱さを忘れること」と言う。これが、想念を消した時の不思議な力の小さな例であり、ロレンスが人の秘められた力をさりげなく駆使することが出来たことを表している。
映画の中でも、ロレンスは「私と一緒に水の上を歩く者はいないのか?」(イエス・キリストが海上を歩いた聖書の話を引用したもの)と言うなど、彼は世間を超えた神秘な力が自分にあるという信念を持っていた。だが、彼は結局は世間の力に負けたのだ。それに対して、イエスは「私は世に勝ったのだ」と言っているのである。イエスは完全に無になれたからだ。
究極的には、人の全ての力を使う教えは聖書にあるのである。

世界的な能力開発のトレーナーであるアンソニー・ロビンズが、燃える炭火の上を、セミナー受講者に歩かせていたことも、何か通じるものがある。
これをインチキ扱いする者も多いが、世界的物理学者のフレッド・アラン・ウルフは、自分でもロビンズのセミナーに参加して火渡りを体験した結果、この現象は、物理学的に説明できないことを認めている。

催眠術の技術を持っている方なら分かると思うが、催眠術により、腕などに針を刺しても、痛くもなければ血が出ないようにすることが出来る。
私も、催眠術と同じであるが、軽いトランス(変性意識)状態で、手をライターの火であぶったことがある。多少熱いという程度だが、全く平気であった。
アメリカでプロレスラーやプロボクサーを倒しまくった日本のある空手家は、その力を示すのに、指で硬貨を曲げるパフォーマンスを見せることがあったが、高度な催眠状態に導くことにより、普通の女性に同じことをやらせる人もいる。
また、大人の男性でも難しい、野球ボールを時速100km以上で投げることを、小学生にやらせることも可能なようだ。

これまでも何度も書いたが、想念を消すことと、怠惰になったり、気ままになることとは全く違う。
「そうかあ、なーんにも考えなければいいのかあ」とのんべんだらりとするのは、想念を消したのではなく、怠惰で消極的な想念を持っているということなのだ。
想念を消すとは、「私」を消すことだ。
それは、心にとっては死ぬことと同じなのだ。
だから、イエスは「本当に生きるためには死ななければならない」と言い、至道無難は、「生きながら死人となりはてて、思いのままになすわざぞよき」と言ったのである。

人をトランス状態に導く最高の達人は、精神科医のミルトン・エリクソンだった。
エリクソンより、はるかに有名な精神科医のジクムント・フロイトは現実的には1人の患者も治せなかったが、エリクソンは「魔法で治している」と言われるほど上手く治した。
札付きの不良高校生を一言で更正させたこともある。また、彼の娘は高校教師だったが、父のやりかたの一端を知る彼女は、やはり最悪の不良を一瞬で素晴らしい若者に変えたことがあった。また、彼女はチビで冴えない女子高生時代にも、学校一のヒーローを軽々と虜にしたのだった。
誰にもエリクソンと同じことは出来ないと思う。しかし、彼の技術を研究して優れた自己開発技術であるNLP(精神言語プログラミング)を開発したのが、リチャード・バンドラーだ。上に紹介したロビンズはバンドラーの弟子だった。

つまるところ、エリクソンもバンドラーもロビンズも、その奥義は想念を消す技術である。
エリクソンは、ポリオに感染して全身麻痺状態だった高校生の時に精神の深奥を探ることで、そのための重要な何かを発見したのかもしれない。
西洋的な分析手法で精神の研究をしたフロイトの構築した精神の理論は、極めて重要なものであることは確かだが、深い部分では奇妙なものになってしまった。
だが、東洋の英知は、太古の昔から、人の根本に関する、はるかに深く高度な真理を解明していた。
それを最も純粋に現したものが『バガヴァッド・ギーター』である。
それよりも古く、アトランティスのトートは、『エメラルド・タブレット』に、人と万物のあまりに高度な秘密を書き残した。

マッチの火を指で消すだけでも偉大なことが可能な意識に近付くヒントとなる。
ましてや、『バガヴァッド・ギーター』や『エメラルド・タブレット』を深く学べば、世俗をはるかに超え、自由自在の境地に達することも可能かもしれない。









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